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剣岳 点の記
キネマ旬報で永らく連載されてきた「木村大作特集」。木村大作氏が関わった映画の数々についてのご本人のインタビューでしたが、正直言って連載を読んだだけでこの作品を見た気になってしまいました。もちろん、完成作品の映像は素晴らしく、剣岳を含む山岳の四季はとても美しいものでした。同じ雑誌に連載されている香川照之さんのエッセーにもこの作品のロケの裏側が出ていて、大変な撮影だったのだなあと感嘆していましたが、やはり、そういった情報をあらかじめ知っていたためか、「ああ、この場面は監督が異常に粘ったんだな」とか「...
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2009/07/02 20:53 |
レスラー
人生を何かに賭けるといえば、「レスラー」の主人公もそうだろう。無名のボクサーの成功を描いた「ロッキー」とはまったく違っている。若い頃成功したプロレスラー(ミッキー・ローク)は20年後、満身創痍で呻いている。永年使い続けた鎮痛剤・ホルモン剤・筋肉増強剤…。試合中に自分で額を切り、血まみれになってリングを盛り上げる。建築工具のでかいホチキスを胸に打ち込む。週末だけのレスラーは、平日、スーパーで荷物運びをし、それでも家賃が払えず車で寝ている。やがて試合後に心筋梗塞で倒れ、バイパス手術で助かる。医者...
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2009/06/23 07:52 |
ハゲタカ
NHKで放送された「ハゲタカ」。当時、私は夢中で見ました。冷酷非情な鷲津・大森南朋が、アメリカ投資ファンドの代理人として東京へ乗り込み、生ぬるい融資を続ける大銀行と、将来性のない経営を続ける企業を叩き切るという、衝撃的な内容でした。ですが、今から考えると、私たちが強く支持し、共感した小泉改革は、日本を救ったのでしょうか。日本の隅々にまで行き渡らせようとした「民営化」が、弱者を疲弊させ、日本の地盤沈下を引き起こした一因になってしまったのも事実のようです。しかも、サブプライムローンに端を発した金融界...
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2009/06/19 20:32 |
真夏のオリオン
潜水艦映画には出来の悪いものはない、と言われますが、極限の状況での攻防が、強いサスペンスとなるからでしょう。今回は、太平洋戦争末期の日本海軍の潜水艦と、アメリカ太平洋艦隊の駆逐艦との攻防戦。映画に登場するイ-77潜水艦は、特攻兵器「回天」を2基搭載していますが、この回天を扱った横山秀夫さんの「出口のない海」を監督した篠原哲雄が今回も演出に当たっています。「真夏のオリオン」の原作は、池上司さんの「雷撃深度十九・五」となっており、実話を基にしたフィクションですが、映画化に際して、まったくのフィクショ...
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2009/06/19 20:00 |
ウルトラミラクルラブストーリー
娯楽派の私には、ときおり苦手タイプの作品を見てしまうことがあります。前評判が高いので劇場へ行くと・・・う〜ん、困った、というような。相性が悪いってことでしょうか。横浜聡子監督の「ウルトラミラクルラブストーリー」、まさにその一本!青森の農村が舞台だから、津軽弁です。松山ケンイチの設定が、知的障害者です。亡くなったおじいちゃんのカセットテープを聞きながら、自家用野菜を作っていても、キャベツは虫食いだらけ。じゃがいもも商品以前。この奇矯な青年の存在は、ばあちゃんや、医者、村の人々によって支えられている...
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2009/06/12 05:46 |
スタートレック
冒頭から素晴らしい映像が続く。ハリウッド最新鋭のCG
は、行き詰っていたスタートレックシリーズを一気に蘇らせた。特に、カークの父が船ともども敵の船に突っ込んだあと、脱出したシャトルが点のように連なって懸命に地球へと逃げていく映像には、感動した。少年カークから、青年カークまで、新たなキャラクター設定も面白く、女好きで喧嘩好き、度胸だけでエンタープライズ船長にのし上がっていくカークの成長譚にもなっている。同時並行的に描かれる若きスポックの出生の秘密と、性格付けが物語の幅を広げ、老いたスポックとの対...
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2009/06/04 06:18 |
重力ピエロ
原作者の伊坂幸太郎さん、森淳一監督、ともに初体験です、勉強不足で申し訳ありません。原作未読のため、映画化に際してどのような工夫がなされているのか、皆目わかりません。ただ、わかるのは、優れた物語世界が巧みに構築されているということです。冒頭、桜が散る高校の校舎で、弟・岡田将生がレイプ場面に乗り込み、バットで叩きのめすシーン。それを、眼鏡をかけた臆病な兄・加瀬亮が驚いて見ているのですが、助けた女子高生の鳩尾にもバットを突き出して「お前を助けたいんじゃない」という台詞にも、逆計算から来るテーマが全て隠...
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2009/05/30 11:07 |
消されたヘッドライン
やっぱり、ラッセル・クロウ、いいですね!ちょっと硬めのベン・アフレックとの取り合わせ。方や、”デブ”の独身敏腕記者。方や、脚光を浴びる若手議員。二人は大学時代のルームメイト。かつ、議員の妻を挟んで三角のご関係。この設定で起きる殺人事件。プロと思われる殺し屋に撃たれた黒人青年と、それを目撃してしまったピザの配達人。同時に起きるのが、議員のスタッフ急死事件。彼女は、議員が追及中の軍事産業の調査員であり、議員の愛人でもあったから、マスコミは騒然。ラッセル・クロウも、興味を持ち始め、ブログ版記者のレイチ...
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2009/05/22 16:27 |
悪魔と天使
日頃キリスト教に馴染みがなく、聖書すら読んだのことのない私には、理解しにくい点もたくさんある作品です。前作「ダヴィンチコード」は、原作がとても面白く、聖杯とテンプル騎士団、ダヴィンチの絵に籠められた謎が圧倒的な魅力を持っていました。とはいえ、映画化に際しては、名匠・ロン・ハワード監督が盟友・トム・ハンクスを起用して料理してみても、原作のダイジェスト版にしかなっていないなア、と感じたものです。さて、そのラングドン教授シリーズの第二弾となって、今回の作品。ローマ教皇が亡くなった後、新たな後継者を選ぶ...
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2009/05/21 11:16 |
新宿インシデント
カンフーを自ら禁じて、新たなジャッキー・チェンを作り出そうと、90年代の新宿を舞台に作り出された作品。経済発展の一途を辿る今の中国からはやってこないかもしれないが、かつて、命がけで寒村から不法に日本に出稼ぎに集まった農民たち。大久保の民家にたむろする彼らの暮らしぶりが面白く描かれている。偽造テレカ、偽造カード、盗品、パチンコ・・・。アジア各国から集まったハングリーな男や女が、東京で苦心惨憺生きているが、活気に溢れ、楽しそうだ。だが、危ない橋を渡れば、やがて、破綻も来る。やくざに目をつけられ、ジャ...
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2009/05/16 05:24 |
ミルク
ニューヨークで保険会社のサラリーマンとして、ゲイであることを隠して暮らしていたミルク(ショーン・ペン)。40歳の誕生日に、恋人のスコットと巡り合い、二人はサンフランシスコへ。カストロ通りと呼ばれる地区で、二人はカメラ屋を始めるが、客のゲイたちに呼びかけてカストロは、ゲイのメッカになっていく。やがて、ミルクはゲイへの差別と戦う政治家を目指し、苦闘・・・。この作品は、無名のゲイだった一人の男が、ゲイに対する偏見を打破する運動のリーダーになり、政治家としてゲイ否定派と戦っていく姿が感動的に描かれていま...
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2009/04/28 15:45 |
グラン・トリノ
クリント・イーストウッド監督「ミリオンダラーズ・ベイビー」を観た時に抱いた違和感の原因が、「グラン・トリノ」でようやく理解できました。「ミリオンダラーズ・ベイビー」は、しがないウエイトレスが、厳しいトレーニングに耐えて、女子ボクシング界で成功するという物語でしたが、試合で受けた傷害で寝返りも打てない身体になり、彼女に愛を抱いた老トレーナーが、彼女を安楽死させるというラストでした。私が違和感を感じたのは、イーストウッド演じる老トレーナーが、彼女の惨めな姿を直視できず、殺してしまうという結論でした。...
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2009/04/27 19:10 |
スラムドッグ$ミリオネア
この作品は、大変魅力的な脚本によって構成されています。冒頭にクライマックス近くの劇的な場面を持ってきて、過去に遡って物語っていくという構成は、しばしばあります。ダニー・ボイル監督のこの作品は、二日間にわたるテレビのクイズショーの推移と、主人公の警察での取り調べ、取調べの過程で描かれる主人公の過去という、三段階に分かれた物語が、絶妙に絡み合い、相互に響き合って、クライマックスに流れ込んでいく構造になっています。まず、格段に優れた才筆がなければ、こんなに見事な脚本は書けるものではないでしょう。とはい...
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2009/04/20 15:28 |
レッドクリフU
前作と同様、本編の前にナレーションとアニメによる物語の背景説明がついています。これはとてもわかりやすく、すでに孫権の妹・尚香が曹操軍に兵士として潜り込んでいることがわかります。され、本編。80万の大軍を率いる曹操に、5万の連合軍がまともに立ち向かえば勝ち目はない。そこで、周喩(トニー・レオン)と孔明(金城武)の智謀が冴え渡るのです。三国志を熟知している方なら驚かないエピソードも、私には意外性のある面白い物語として楽しめました。曹操軍に蔓延する疫病。死者を小船で送りつけられた連合軍にも、疫病が広が...
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2009/04/17 20:29 |
ザ・バンク 堕ちた巨像
かつて、パリの貴族たちが悪臭と体臭隠しに用いた香水の調合を巡って、天才青年が活躍する「パフューム」の監督、トム・ティクヴァ。今度は、がらりと趣を変えて、現代の巨大銀行の裏側を描くというので、早速劇場へ。冒頭は、極秘情報を手に入れかけたインターポールの捜査官が、同僚・クライヴ・オーウエンの目の前で巧みに暗殺される場面。ハリウッド映画で何度も見たような既視感に捕われそうで、平凡な作品になりそうな悪い予感・・・だったのですが、途中からぐんぐんと物語りは加速され、ド派手な銃撃戦まで物語りは重層的に膨ら...
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2009/04/08 19:42 |
鑑識・米沢守の事件簿
東映が放った大ヒットシリーズ「相棒」。映画版公開に合わせて、観客のアンケートによって、主人公以外のどのキャラクターに人気があるか調べたそうです。結果は、意外にも六角精児演じる、実直な中年鑑識官・米沢守。東映は当初からスピンオフ映画を作る予定だったらしく、映画版「相棒」撮影時から六角精児の加わるいくつかのシーンを撮り溜めていた様子ですね。というわけで、堂々公開の「鑑識・米沢守の事件簿」・・・物語は、東京シティマラソンから始まり、監視カメラに写っていた女性を、離婚した前妻だと思い込んだ米沢が居所を探...
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2009/04/08 19:15 |
ダウト
こういう、名優たちが火花を散らす作品を見逃すわけにはいきません。時代は、ケネディー大統領暗殺直後。カトリック教会と、それに付随する学校が舞台。冒頭は、日曜ミサでの司祭役のフィリップ・シーモア・ホフマンの説教。ここで時代背景がわかり、「ダウト」という名詞が早くも現れます。若い修道女・エイミーアダムズは、純粋な教師で、生徒たちに優しく接していますが、校長のメリル・ストリープは、厳格で厳しく、規律を徹底的に重んじる鬼校長。といっても、年老いた修道女たちが施設送りにならないように、密かに病状を隠している...
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2009/03/27 20:48 |
ワルキューレ
映画雑誌に「ヒットラーものに駄作はない」と書かれていましたが、予告編に漂う緊迫感+「ユージュアル・サスペクト」で驚かされたブライアン・シンガー監督、ということで、早速映画館へ。模型好きの男子社員は、「あの映画、金かけて当時の飛行機とか戦車、作ってンですよね」と教えてくれましたから、CGにはないリアリティー溢れる戦闘場面から始まる。場所はアフリカ戦線。ここでも、ドイツ軍は連合軍に攻撃されるばかり。反ヒットラー派だったためにアフリカに左遷させられていた大佐(トム・クルーズ」は、銃撃を受けて重態となり...
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2009/03/27 20:22 |
パッセンジャーズ
ネット時代ですから、この作品の結末を知ることは容易です。映画会社も、それを十分承知で作っているのでしょう。とはいえ、やはり、この種の物語は、観客が上手に騙されることが作品を楽しく鑑賞するための、最低限の条件になるでしょう。タイトルが浮かび上がるまでの短い時間に、飛行機がエンジンから火を噴き、海岸に墜落したらしいことがわかります。ハリウッドお得意のCGによる大げさな墜落シーンにはなっていないところがミソです。さて、奇跡的に助かった数人の乗客のトラウマのために、セラピスト、アン・ハサウエイが彼らの...
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2009/03/13 15:25 |
ジェネラル・ルージュの凱旋
ミステリーらしく、すでにタイトルに多重の意味を含ませた作品。現役医師・海堂尊氏の原作を、脚本の斉藤ひろしさんと中村義洋監督がどのように味付けし、構成を変え、または膨らませたのかはわかりませんが、大変によくできた構成だと思われます。冒頭は救急患者が殺到する救急外来。手一杯になってもどんどん患者を受ける”ジェネラル・ルージュ”・堺雅人。この場面が作品全体のテーマを象徴しているのですね。一方、グチ外来の医師・竹内結子は、「チーム・バチスタ」事件解決の功労から倫理委員会の委員長に抜擢されている。それをや...
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2009/03/13 15:02 |