| タイトル | 日 時 |
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笑う警官
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2009/11/22 05:48 |
風が強く吹いている
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2009/11/14 05:32 |
私の中のあなた
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2009/11/06 18:54 |
母なる証明
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2009/11/03 18:46 |
沈まぬ太陽
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2009/10/30 21:46 |
カイジ
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2009/10/22 06:00 |
クヒオ大佐
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2009/10/20 21:07 |
エスター
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2009/10/17 20:05 |
ヴィヨンの妻
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2009/10/13 15:24 |
リミッツ・オブ・コントロール
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2009/10/08 03:22 |
カムイ外伝
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2009/10/08 03:04 |
ウルヴァリン X-MEN zero
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2009/10/01 16:54 |
火天の城
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2009/09/20 05:40 |
アマルフィー
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2009/09/11 22:10 |
サブウエイ123
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2009/09/11 07:17 |
3時10分 決断のとき
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2009/08/27 20:08 |
96時間
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2009/08/25 20:33 |
南極料理人
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2009/08/25 20:12 |
ココ・シャネル
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2009/08/24 05:25 |
そんな彼なら捨てちゃえば?
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2009/08/06 20:28 |
セントヘレンナの奇跡
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2009/07/30 06:18 |
ディア・ドクター
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2009/07/17 22:21 |
愛を読むひと
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2009/07/14 20:21 |
ターミネーター4
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2009/07/13 19:04 |
それでも恋するバルセロナ
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2009/07/13 17:06 |
剣岳 点の記
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2009/07/02 20:53 |
レスラー
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2009/06/23 07:52 |
ハゲタカ
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2009/06/19 20:32 |
真夏のオリオン
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2009/06/19 20:00 |
ウルトラミラクルラブストーリー
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2009/06/12 05:46 |
スタートレック
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2009/06/04 06:18 |
重力ピエロ
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2009/05/30 11:07 |
消されたヘッドライン
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2009/05/22 16:27 |
悪魔と天使
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2009/05/21 11:16 |
新宿インシデント
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2009/05/16 05:24 |
ミルク
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2009/04/28 15:45 |
グラン・トリノ
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2009/04/27 19:10 |
スラムドッグ$ミリオネア
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2009/04/20 15:28 |
レッドクリフU
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2009/04/17 20:29 |
ザ・バンク 堕ちた巨像
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2009/04/08 19:42 |
鑑識・米沢守の事件簿
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2009/04/08 19:15 |
ダウト
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2009/03/27 20:48 |
ワルキューレ
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2009/03/27 20:22 |
パッセンジャーズ
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2009/03/13 15:25 |
ジェネラル・ルージュの凱旋
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2009/03/13 15:02 |
ゼラチン・シルバー・ラブ
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2009/03/11 16:51 |
チェンジリング
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2009/02/27 16:27 |
少年メリケンサック
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2009/02/27 16:02 |
ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー
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2009/02/20 04:51 |
チェ39歳 別れの手紙
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2009/02/11 05:39 |
禅
若いころは、食うや食わずのピンク映画監督で、女性の部屋の鍵をジーパンの腰に何本もぶらさげて、あちこち泊まり歩いていたという伝説の持ち主、高橋伴明監督。一方、旧・大映のお色気青春映画で人気沸騰・アイドルになってからもスキャンダル続発、すっぽかし・恋の逃避行女優となっていた関根恵子さん。この二人が運命の出会いをして見事な夫婦になって数十年。奥方は、高橋恵子となって、母親にもなり、母性的な名女優となられました。監督は、数年前、映画に情熱を失い、監督業をやめようかと思っていた時期があるそうです。その監督... ...続きを見る |
2009/02/01 05:58 |
007/慰めの報酬
興行的にも作品的にも厚い壁を実感するようになったハリウッド。いろんなメディアでハリウッドの危機が叫ばれています。その最中、やはり、ジェームズ・ボンドは、革新されていました!長らく007を作り続けてきた製作陣も、がらりとテイストを変えて、打って出てきたのです。これこそ「チェンジ!」でしょうか。冒頭から、映像は暗さをたたえ、目まぐるしく交錯する短い鋭角的なカットを多用し、理論よりも感性を重んじた演出。カーチェイスにしろ、ボートチェイスにしろ、ボンド自身の追跡、格闘、すべてが激しく、情熱的で、怒りさえ... ...続きを見る |
2009/01/26 15:55 |
感染列島
新型インフルエンザの猛威の報道がメディアに溢れる今、タイムリーな企画ですね。といっても、パニック映画はお決まりの形になってしまいがちで、新鮮さを求められます。この作品は、東京の総合病院・救命救急病棟を舞台に描かれています。昼夜を分かたず運び込まれる急患に対応する医師と看護師が、新型ウイルスの脅威に晒される様子を描き、ウイルスの急速な拡大と被害状況も、この病院の医師たちの目を通して描かれていきます。病院の医師・妻夫木聡と、病院を出てWHOで世界的な感染症対策に従事してきた医師・壇れいが主役。作劇上... ...続きを見る |
2009/01/26 15:40 |
チェ・28歳の革命
世界を、悪しき富める者・権力者と、善意の弱者・労働者・農漁民に画然と別け、悪しき者を倒し、善意の者たちへ富を分け与える・・・そういう理想を追って、若者たちが戦った時代がありました。「ゲバ棒」とういう言葉がマスコミに頻繁に登場していた頃のこと。生まれながらに権力を持ち、また、実力で権力を獲得した者たちにとってみれば、こんなに厄介な思想はなかったでしょう。世界は真っ二つに裂け、超大国が冷戦に鎬を削る時代・・・それも今となってみれば、歴史的事実に残るだけになってしまいました。チェ・ゲバラは、理想を追い... ...続きを見る |
2009/01/21 16:38 |
地球が静止する日
2008年から映画館で何度も予告編を見せられてきた私には、もう見てしまったような既視感が生じて、見ようという意欲も湧いてこなかったのですが、新年初鑑賞がこの作品になりました。しかし、見てびっくり!予想よりもはるかに面白い作品になっていました!冒頭は、昭和13年。吹雪のヒマラヤ付近。登山家らしきキアヌ・リーブスが、謎の球体に触れて倒れるところから始まります。そして、現代。地球外生命体の研究者という設定のジョニファー・コネリーが突然政府によって身柄を拘束されます。うまく作られているのは、この女性博士... ...続きを見る |
2009/01/10 07:30 |
アンダーカヴァー
2008年最後に見たこの作品は、予想外の出来栄えでした。緊密に構成された脚本を、ジェームズ・グレイ監督が丹念に描き出しています。舞台は、1980年代のニューヨーク。主人公は、市警の幹部警察官を父に持つ兄弟。兄・マーク・ウオルバーグは優秀な警察官だが、弟・ホアキン・フェニックスはロシア人が経営するディスコのマネージャーをやっている。弟の恋人・エヴァ・メンデスもセクシーで魅力的だが、なんといっても父親役のロバート・デュバルが渋い魅力を放っている。かつて、コッポラ監督の「ゴッド・ファーザー」で怜悧な経... ...続きを見る |
2008/12/31 05:02 |
ワールド・オブ・ライズ
いやはや、ラッセル・クロウには感心しました。大した役作りですね!方や、果敢にイメチェンに挑んだディカプリオも熱演。演出は、「ブラック・ホークダウン」で緊迫した映像を堪能させてくれたリドリー・スコット。デスクワーク専門の、高給メタボCIA・ラッセル・クロウと、傷だらけ現場苦労人のデイカプリオの、丁々発止の駆け引きと、命がけの仕事ぶりが、テンポよくダイナミックに描かれています。物語の背景は、米英欧州を狙い打つイスラム原理主義テロ集団と、犯人を懸命に追いかけるCIA。安全なアメリカ国内に暮らし、家庭的... ...続きを見る |
2008/12/25 19:45 |
生存者あり 252
海上保安庁の特殊救難隊を素材に、大ヒットした「海猿」。その映画的テイストをそのまま消防署の救命チームに置き換えて描かれたこの作品。地震によって海底から噴出したメタハイドレートが海水温度を急速に上昇させ、巨大津波を発生させる。お台場から押し寄せた津波が、新橋付近を直撃する。テレビドラマと連動しているが、私は未見なので、映画だけで判断せざるをえませんでしたが、消防隊員のリーダーとして働く兄・内野聖陽と、転職した弟・伊藤英明の葛藤がドラマの主軸に据えられている。二人には痛切な過去がある。かつて、火災現... ...続きを見る |
2008/12/25 19:18 |
ブラインドネス
突然発生した伝染性の眼病。世界が白く見え、失明する。物語の発端は、ニューヨークで活躍する日本人。失明して車が運転できなくなったのだ。だが、彼を助けた男も感染し、眼科医も、看護師も感染する。失明者続出の緊急事態に、政府は発病者を老朽化した施設に隔離する・・・と、ここまで来ると、ハリウッドお得意のパニックサスペンスなのか、と思うが、フェルナンド・メイレレス監督と脚本家の真意は、この隔離された施設の中で起こる人間ドラマに全ての関心を注いでいる。ただひとり失明を逃れたヒロイン・ジュリアン・ムーアの目を通... ...続きを見る |
2008/12/25 18:53 |
青い鳥
中学生の心の内を感受性豊かに共鳴して数々の秀作を描き続けてきた作家・重松清の原作を映画化した「青い鳥」。タイトルの由来は、問題が起きた東京都・多摩地区の中学校で行われた”青い鳥運動”。校内に置かれた”青い鳥ボックス”に、生徒たちが思い思いの投書をする。生徒の本心を掴もうという生徒指導の教師の発案だ。学内で起きた問題とは、いじめにあった男子生徒が自宅で自殺未遂を起こした末、転校したことをいう。マスコミに公表され、生徒がカーテンレールで首を吊る直前に残された”遺書”が問題になったのだ。自殺の原因を作... ...続きを見る |
2008/12/06 15:14 |
彼が二度愛したS
謎めいた美女に男が騙される映画が大好きです!見逃しかけたこの作品も、さっそく銀座シネパトスへ。脚本を読んだヒュー・ジャックマンが大いに気に入ってプロデュースまでしてしまっただけに、よく出来たミステリーになっています。主人公は、シャイな独身経理マン・ユアン・マクレガー。両親を早くに亡くし、苦学して大学院を出て経理のエキスパートとして忙しく働いているが、恋人もなく、孤独な日々。今夜も残業・・・そこへ突然現れたのが、弁護士だと名乗る男・ヒュー・ジャックマン。がらんとした会議室で、マリファナを吸って二人... ...続きを見る |
2008/12/01 16:27 |
1408号室
娘を小児ガンで亡くした過去を持ち、妻をニューヨークに残したままカリフォルニアで『恐怖の館』なんていう本を書いている主人公・ジョン・キューザック。幽霊が出るというホテルに泊まり、体験記を出版。客を集めたい全米各地のしなびたホテルからは取材以来が殺到している。そんな中、ふと目に留めたのはニューヨークの一流ホテル。葉書には「1408号室には泊まるな!」の文字。興味を持った彼は、トラウマの残るニューヨークへ。待っていたのは、ホテルの支配人・サミュエエル・L・ジャクソン。かつて数十人が奇怪な死を遂げた14... ...続きを見る |
2008/12/01 05:53 |
ハッピー・フライト
これは、ある意味で完璧な映画だといえます。周到な取材。そこから得られた膨大な情報を適切に取捨選択し、必要な部分だけで練り上げられた見事な脚本。センスのいいキャスティングに支えられた、テンポのいい演出。矢口監督の世界が、ぐんとレベルアップしたように感じた作品です。今までにも飛行機を舞台にした映画はいくつか見ることができました。テロリストに乗っ取られた大統領専用機、乱気流に巻き込まれた恐怖のフライト、飛行場を舞台にしたものには、ダイハート・・・などなど。しかし、羽田空港からホノルルへ飛行するジャンボ... ...続きを見る |
2008/11/20 20:39 |
ブーリン家の姉妹
エリザベス女王誕生秘話ともいえるこの作品には画期的視座がもたらされているようです。歴史的に注目されてきたエリザベスの実母・アン・ブーリンだけを描くのではなく、妹・メアリー・ブーリンを配して、美貌の姉妹によるイングランド王・ヘンリー8世との三角関係として描いた点です。この時代の歴史的背景に関しては、イギリスの皆さんはよくご存知なのでしょうが、日本人の私にはあまり知識がなく、この作品を見て、あまりに面白くて驚いてしまいました。皆さんのブログを拝見しても”大奥”または”薔薇と牡丹”を連想させるという意... ...続きを見る |
2008/11/20 20:24 |
その木戸を通って
冒頭、漆黒の闇に浮き上がる竹群。その竹群を背景に、まるで闇から浮き出てくるように初老の武士が現れる。縁側で盆栽に鋏を入れている武士を中央に、襖、畳、障子が色づいてくる。ここまで見ただけで、故・市川監督のずばぬけた映像感覚に陶酔を覚える。原作は山本周五郎。ヒューマニズムに富んだ周五郎の作品の中では珍しく、”異界もの”だとされる。この作品は、フジテレビがハイビジョン作品として試験的に作られたもので、衛星放送で一度放映されただけだった。当時、私も見たいと思ったが、見逃してしまっていた。市川監督のテレビ... ...続きを見る |
2008/11/11 15:25 |
レッド・クリフ 1
正直言って、私はジョン・ウー監督があまり好きではありませんでした。ニコラス・ケイジが二挺拳銃を持って飛翔するのをスローモーションで見せられても、「できねーだろう、それ」って感じでした。ケレンが強すぎるんですよね。さて、長年監督が胸に抱き続けてきたという、三国志の映画化「レッド・クリフ」パート1と2に分かれていて、2部は09年春に公開されるということ。日本からは中村獅童、音楽の岩代太郎。香港、中国、モンゴル、ハリウッドと、グローバルな陣容で作られています。冒頭、三国志に馴染みのない日本の観客のため... ...続きを見る |
2008/11/08 08:06 |
容疑者Xの献身
やっぱり、映画というものは見てみなければわかりません。東野圭吾さんの原作を読んでしまっていた私は、この作品を見るのを躊躇っていましたが、時間ができたので劇場へ。突如のニュース映像で始まる冒頭、それに続く物理の野外実験・・・一気に観客をスクリーンへ引きずりこむ凄腕は並みのものではありません。湯川博士が紹介され、警察側のキャラクターも紹介されたあと、母子家庭で起きる凄惨な殺人事件。このシーンの演出にも力がこもっています。母子の隣室に住む冴えない高校教師を演じる堤真一さんも、弁当屋を営む母親を演じる松... ...続きを見る |
2008/10/31 20:56 |
三本木農業高校馬術部
あまりにストレートな題名。ヒット作から遠のいてしまっている東映のラインナップの中でも、あまりに地味すぎ。佐々部清監督でなかったら、見なかったかも。でも、でも、映画ってのは見ないとわかんないもんですね!この作品、後半になるとなぜか、涙が滂沱と溢れ、鼻水すすらずにはいられません。なんたって、主役は馬!人間関係にはさほどの劇的場面はないのに、馬になると泣けます。第一線の競技馬だったコスモス。でも、目を患って処分されそうになったのを貰い受けたのが、青森の三本木農業高校馬術部。広大な敷地に、ゆったりとした... ...続きを見る |
2008/10/23 20:48 |
P.S.アイラブユー
ニューヨークのチャイナタウンらしき場末のアパートへ帰宅する妻・ヒラリー・スワンクと夫・ジェラルド・バトラーの、激しい夫婦喧嘩から物語りは始まる。家を持つのが先!と、妻が子供を産もうとしないわけを言い張れば、毎夜聞かされる妻の愚痴に文句をつける夫。二人は、夫の故郷・アイルランドで知り合い、恋に落ち、親の反対を押し切って若くして結婚したのだ。だが、夫はリムジンの運転手。妻は転職5回目の不動産屋の販売員。妻の夢と夫の夢が食い違ってしまった。その二人がようやく仲直りしてベッドインしたところに、タイトルが... ...続きを見る |
2008/10/22 15:49 |
宮廷画家ゴヤは見た
ピーター・シェファーの「アマデウス」は、音楽家として脚光を浴び始める天才・アマデウス・モーツアルトに激しく嫉妬する宮廷音楽家・サリエリの目を通して、非凡と凡才を鋭く描きぬく傑作戯曲。それを映画化したミロス・フォアマン監督にもアカデミー賞の栄誉が輝いた。しかし、ゴヤを取り上げたこの作品は焦点の絞りきれない凡作になってしまったようだ。「スペイン国王の画家」として、一世を風靡した天才画家・ゴヤ。映画は、その才能の素晴らしさを映像で精緻に描き出すこともせず、ゴヤの目を通したスペインの歴史を描こうという意... ...続きを見る |
2008/10/10 16:03 |
パコと魔法の絵本
「嫌われ松子」ですっかり中島監督のファンになってしまった私は、新作に大きな興味を持ってました。予告編を見るたび、「どんな映画だろう?」・・・どうも、とんでもない映画のように思われてなりませんでした。そして、いよいよ、映画館へ・・・予想は大的中!男のがなり声から始まるや否や、息つく間もないほど、次々に奇想天外な美術!衣装!台詞!演技!・・・「舞妓haaaa〜n」で出ずっぱりに動き、喋り捲っていた阿部サダヲすら、地味に見えてしまうほど、異様なハイテンション!物語の骨子は単純そのもの。貧乏人から這い上... ...続きを見る |
2008/10/07 05:48 |
ウオンテッド
無意味にたくさんの人たちが死に、車が吹っ飛び、建物が破壊される・・・そんなハリウッド映画に食傷気味の私は、そういった娯楽映画をパスしてしまうことが増えました。新聞報道によると、日本国内でのハリウッド映画興行は振るわないということです。納得してしまう私ですが、「ウオンテッド」には魅力があります。なんといっても、アンジェリーナ・ジョリー!セクシー!・・・原作はアメコミ。物語にはあまり関心のないまま、劇場へ。でも、驚きました!主人公の青年は、ボヤキ男。会社では顧客担当のしがないサラリーマン。上司のデブ... ...続きを見る |
2008/10/06 07:23 |
アキレスと亀
この物語は、群馬で養蚕が盛んだったころに始まる。統計では、昭和33年が養蚕農家数のピークだったというから、その頃だろうか。当時7歳だった少年は、今では57歳。後半、監督のビートたけし本人が演じる晩年の主人公になっていく。ただ、少年の父を演じる中尾彬が芸者や贔屓の画家・画商を引き連れて、いい気分で街を歩くシーンのセットは、戦前のようで、若干違和感を感じた。それはともかく、意外に思ったのは、前半だ。銀行も経営するやり手社長の一人息子が、画家に誉められ、絵画にのめりこんでいくのだが、少年が青年になるま... ...続きを見る |
2008/09/27 18:44 |
ベガスの恋に勝つルール
遊びに夢中で仕事に意欲のない家具工場の跡取り坊ちゃん、アシュトン・カッチャー。方や、マーカンタイル証券市場で、男に負けずに大声を出して売買に励むキャリア・ウーマン、キャメロン・ディアス。カッチャーは、親父に見限られて工場をクビ。ディアスは、婚約者のサプライズ・パーティで捨てられてしまう。と、まず主演の二人の設定を作りました。といっても、遊びに夢中のカッチャーの描写も、緻密な計画魔で息が詰まると言われるディアスの方も描写はおざなりで、核心をついていない。ウエルメイドのコメディには、「これじゃあ、無... ...続きを見る |
2008/09/14 04:38 |
イン・トウ・ザ・ワイルド
若い頃、大学を出たものの職を転々としたことのある私には、胸の裂けるような思いのする作品だ。両親の不和を目の当たりにして育った青年と妹。NASAの天才科学者として成功した父だが、母とは事実婚で、実際は愛人のまま暮らしていたのだ。思春期真っ只中で自分が私生児だと知った青年は、大学を出るとそのまま姿を消す。余った学資は寄付し、旅先で車を乗り捨てて、所持金は燃やしてしまう。印象的なのは、ロサンゼルスでの夜。街をさすらう青年は、レストランの中で談笑する若いビジネスマンを見つめる。やがて、彼の姿が自分に重な... ...続きを見る |
2008/09/12 04:32 |
ダークナイト
「バットマン・ビギンズ」で、新たなバットマンワールドを創り出したクリストファー・ノーラン。心理的トラウマを負ったバットマンの設定、さらに暗いゴッサムシティ。万能のヒーローが、颯爽と悪と退治する、明朗な映像世界は、ここにはない。犯罪者が、悪行の限りをしつくすという考えは、冒頭から徹している。マフィアの金を狙う銀行強盗団は、ボスのジョーカーから用の済んだ仲間を殺せと言われている。お互いに殺しあう強盗団の最後に生き残るジョーカー。バットマン殺しをマフィアに売り込んでから、ジョーカーの狂気はさらに加速度... ...続きを見る |
2008/09/06 05:39 |
歩いても歩いても
作品の舞台は、三浦海岸近くの開業医宅。原田芳雄が演じる老医師は、緑内障を患って引退している。樹木希林の妻と二人暮らし。物語は、その家を訪れる次男一家と長女一家によって描かれる。主人公は、次男。阿部寛の役は、フリーの絵画修復師。ドラマの主軸は、この次男と父親との葛藤だが、見終わって心に残るのは、老医師の妻の心の秘密だ。主人公の姿には、監督の姿が幾分投影されているだろう。監督の母親が亡くなられたのが、この作品成立の動機になっているという。監督ご自身のご家族そのままではないにしろ、実際の姿が影を落とし... ...続きを見る |
2008/08/28 07:44 |
アクロス・ザ・ユニバース
永遠の命を持ち続けるビートルズ。その数々の名曲を、三人の男女の青春物語に巧みに散りばめた異色のミュージカル。ベトナム戦争の頃、保守的な家庭の父親から大きく期待されて名門大学へ通う学生。彼の妹の恋人は、自ら志願してベトナムへ。一方、イギリスの港町。造船工場で働く青年には、恋人もいるが、広い世界へ憧れを抱いている。工場勤めの青年は、自分と母を捨ててアメリカへ戻った元軍人の父親を探してアメリカへ。大学勤務だと知って、教授かと思いきや、大学で働く雑役係りだった。だが、ここで彼は、大学生活に疑問を抱いてい... ...続きを見る |
2008/08/18 19:09 |
スカイ・クロラ
最近はめったに見なくなったアニメ。今回は、予告編の映像の素晴らしさに引かれて劇場へ。冒頭の空中戦から、映像は素晴らしい。雲の流れる大空。爆音を発して疾駆する戦闘機。それに反して、物語は暗い。永遠の命を持ち、戦闘だけのために生きる「ギルドレ」の絶望が、美しい映像の中で静かに語られていく。人間同士が血を流し合う戦争。愚かしくも残酷な、国家・民族・人間の戦いを、会社が請負い、それをギルドレに実行させるのは、人間の目の前に常に戦いを見せておく必要があるからだ、と作品の中では語られている。戦争が無残なもの... ...続きを見る |
2008/08/18 18:49 |
休暇
原作者の吉村昭氏は、緻密な取材で知られた優れた作家だった。吉村文学の原点は、青春時代の肋膜と戦争だ。だが、「休暇」で扱われている死刑囚および刑務所に関しては、名著「破獄」の関連取材によって構成されているように思われる。刑務官を主人公にした映画を私は知らないし、日本における絞首刑の実態を映像で見るのは、今回が初めてだ。主人公の刑務官を演じる小林薫が憂いを含んで魅力的だし、子連れで再婚することになる相手を演じる大塚寧々も、それにふさわしいコケットな香りを漂わせている。作品の中、刑務官たちに共通してい... ...続きを見る |
2008/08/18 18:29 |
闇の子供たち
舞台はタイ。アジア各国の経済成長のニュースの中、貧困の中に埋没し、光を見出すことのできない極貧の人々が物語の背景をなしている。幼児性愛者は、時折マスコミを賑わす。成人女性や男性には興味を抱けない彼らは、幼い女の子や男の子を対象に性欲を滾らせている。そんな病的性欲者に、彼らの望む性欲の対象を売り込んでいる組織がある。犠牲になるのは、貧しい家の子供たちだ。物語の主人公には、新聞記者とボランティアの若い女性が置かれている。江口洋介演じる新聞記者は、タイで行われようとしている日本人男児の心臓移植の取材に... ...続きを見る |
2008/08/10 11:29 |
ゲゲゲの鬼太郎・千年呪い歌
なんといっても、お楽しみは、大泉洋さんの”ねずみ男”です。この役は、この人しかいない!とさえ、思わせるほどの適役。今回は、大物・小物・子役から大御所まで、さまざまなモデル・タレント・俳優が大挙出演。凝ったメイクで、誰だかわからん役もあります。中でも、白眉は、”濡れ女”の寺島しのぶさんでしょう。女の哀しみを演じさせたら、この人ほど美しく表現する女優さんはいません。千年前、妖怪ながら若い漁師と恋に落ち、子供も生みながらも、漁民たちに撲殺された”千年の呪い女”として存分に演じています。この世を焦が... ...続きを見る |
2008/07/21 11:18 |
告発の時
主人公の元アメリカ陸軍軍曹を演じるトミー・リー・ジョーンズの魅力を上回るのが、シャーリーズ・セロン演じる地方警察署の刑事。かつてのシャーリーズ・セロンとは別人のような、攻撃的で先鋭的な女優がここにはいる。イラクから戻ったばかりの若い兵士が行方不明になるところから物語りは始まる。その兵士の父は、元陸軍警察の軍曹。二人の息子たちは、父親を尊敬して軍隊に入ったのだが、長男はすでに演習中に事故死している。残された次男が行方不明になり、父親は基地に向かう。かつて、同僚だった軍警察の仲間はすでに退役しており... ...続きを見る |
2008/07/14 20:20 |
クライマーズ・ハイ
1985年に起きた日航機墜落事故。その報道を巡って、地元新聞「北関東新聞」が激動する。かつて、地方紙記者だった横山秀夫の原作を、原田眞人監督がリアリスティックに描いている。この原作は、すでにNHKでドラマ化され、高い評価を得た。その原作を映画化することになったのは、東映で「半落ち」が作られた経緯があるからだろう。「突入せよ!浅間山荘事件」で、社会派ドラマの優れた描き手であることを証明した原田監督は、こんかいの映画化では、手持ちカメラを多用して臨場感を醸し出すのに成功している。過去の成功体験から一... ...続きを見る |
2008/07/14 20:00 |
インディー・ジョーンズ クリスタルスカルの王国
スティーブン・スピルバーグとジョージ・ルーカスがとうとう製作に踏み切ったインディーシリーズの新作。何度も浮上しては消えていったいくつかの企画・脚本・・・死屍累々のアイデアを乗り越えて、クランクインしたのですから、ファンとしては期待します。冒頭、若者たちの乗った車と軍事車両とのレースで幕が開き、観客はすぐに、ロスアラモス「原爆実験地」に導かれます。これは優れた導入だ。製作者が、原爆をどう考えているのかはわかりませんが、実験の余波で、インディーが吹き飛ばされるのです。世界がまっぷたつに切... ...続きを見る |
2008/07/06 07:56 |
ぐるりのこと
世間では、働くということを、勤勉に勤め先に通い、ひと並みの、またはそれ以上の給与や賞与を得ることだと考えられている。アルバイトをしながら、絵を描く、作曲する、作詞する、執筆する、なんかは認めてもらえないことが多い。しかし、既存の考え方に違和感を持ち、自分なりの生き方を模索していく人たちも僅かながらいるだろう。橋口亮輔監督作品「ぐるりのこと」には、柔らかに生きていく男と、その妻の姿が描かれている。この作品は、起承転結が明らかな娯楽作品とは決別し、監督自らの人生への省察が展開と台詞に籠められている。... ...続きを見る |
2008/06/28 17:41 |
イースタン・プロミス
わかりやす過ぎる”クロネンバーグ映画”という新聞の映画評に誘われて、映画館へ。ハリウッド版「リング」で絶叫女優を演じていたナオミ・ワッツが、この作品ではずいぶん魅力的な女性を演じています。物語の舞台はロンドンですが、なんだか異国のよう。多国籍の人々が暮らすロンドンの奥深くに潜むロシア・マフィア。ボスの子供を宿した14歳の娼婦が逃げ出して薬局の店先で破水。運ばれた病院で担当となった看護師(ナオミ・ワッツ)は、つきあっていた黒人医師の子供を流産して、別れたという設定。母体は死亡するが、赤ちゃんは... ...続きを見る |
2008/06/20 08:39 |
相棒
長きにわたって作られ続けてきた”刑事ドラマ”。ひたすら真面目な”七人の刑事”に始まり、”太陽にほえろ”から、”あぶない刑事”。奇才三谷幸喜作・日本版刑事コロンボ”古畑任三郎”。そして、今回の映画化は「相棒」。主演のキャラクターを歴史的に見回すと、真面目軍団→世代葛藤型・ジーパン刑事→おふざけ・ギャグ刑事→天才型刑事、となるでしょうか。”名探偵コナン”も、当然、天才型です。藤田まことさんの人情型も姿を消し、今や、天才刑事型ドラマしか生き残っていないと言えましょう。さて、映画「相棒」は、ドラマの... ...続きを見る |
2008/06/20 08:04 |
マジックアワー
三谷幸喜監督、必死のマスコミ露出の中、劇場へ。冒頭から監督好みの”50年代ハリウッド”調へ。架空の港町で起きる愛人をめぐってのギャング・ボスと酒場・支配人との駆け引きが始まって・・・と、これが長い。台詞も多い。もう少し端的に、ズバリと描けなかったのでしょうか。そんな危惧が吹っ飛ぶのが、佐藤浩市演じる売れない役者の登場から。好かれているのは撮影現場のスタッフのみ。端役を演じて苦節の日々。そこへ舞い込む「主役」のお仕事。とたんに巻き込まれるボスとの駆け引き。この作品の白眉は、なんといっても、ボス... ...続きを見る |
2008/06/15 11:19 |
アフタースクール
精妙に時間をずらせながら、登場人物たちの相互関係を意外性で描きぬいた傑作「運命じゃない人」。シナリオを読んで思わず「天才だ!」と心で叫んでしまった私は、内田けんじ監督の新作「アフター・スクール」に、ちょっと危惧を抱いていました。「外れてるのかなア」「いや、きっと今度も傑作だんべ」・・・迷いながらも劇場へ。ファースト・シーン・・・なんと、ここから観客は騙されていました!なーるほど、こうなってるのか!途中、何度も感心し、読めなかった自分が阿呆のように思えます。内田ワールドの真骨頂は、登場人物にいくつ... ...続きを見る |
2008/06/04 14:26 |
光州 5.18
近年、韓国映画は、なじみの薄い歴史的事実を日本人に教えてくれた。「シルミド」では、対北朝鮮特殊要員の悲劇を。今回の作品の背景は、第二次世界大戦後の朝鮮半島の激変と深く関わっている。日本に軍事支配されていた朝鮮半島。日本の敗北で開放されたものの、アメリカと中国・ソ連の冷戦の最中、朝鮮半島には再び戦争が起きた。優勢だったアメリカ・韓国軍は北朝鮮軍に押し戻されて、今のように朝鮮半島は分断された。韓国には、軍事政権が誕生し、北朝鮮の共産主義と厳しく対立。アメリカにとって、韓国の軍事政権は都合がよかったの... ...続きを見る |
2008/05/24 05:54 |
フィクサー
トニー・ギルロイ監督のオリジナル脚本による、現代アメリカの暗部を描く作品。ハリウッド映画にはおなじみの法律事務所。非情で有能な弁護士たちが、破格の報酬を得てクロをシロにしてしまう歪んだ世界。そこで働く主人公(ジョージ・クルーニー)の設定が個性的で面白い。バツイチ。ギャンブル狂。本業の他に金を稼ごうとして始めたレストランは多額の借金を残しただけで閉店。44歳で破産寸前だ。映画の冒頭、同じ裏家業を長年勤めてきた同僚弁護士(トム・ウイルキンソン)の意味不明な電話が長々と続くが、それは後から謎が解ける仕... ...続きを見る |
2008/05/19 15:17 |
隠し砦の三悪人
かつて、西部劇のダイナミックな面白さを時代劇に取り入れようとした黒澤明監督。「七人の侍」に代表される黒澤時代劇の一本が「隠し砦の三悪人」。戦国時代、互いに領地を接した三国間の争いを舞台にしている。思い切ったフィクションにするために、架空の地名を作り、想像力フルスロットルで描いている。黒澤版は、三船敏郎演じる主人公の侍が次々と襲いかかる難関を突破するジェットコースター型ストーリーになっている。気の強い姫と金塊を守って同盟国へ入るまでの物語だ。今回のリメイク版で大きく変えてあるのが、姫と二人の若者。... ...続きを見る |
2008/05/19 14:50 |
ゼア・ウイル・ビー・ブラッド
冒頭、荒涼たる土地で、野心に目を光らせた男(ダニエル・デイ・ルイス)が深い縦坑に潜り込み、金鉱石を掘り出している。ダイナマイトで壁面を爆破させ、再び穴に潜り込む途中、梯子を踏み外して底へ叩き付けられる。しかし、金は売れ、男は次に石油を狙う。油井で働く男たちの中に、赤ちゃんがいるが、母親も生まれた経緯も一切わからない。やがて、油井の事故で赤ちゃんの父親は死に、男が引き取る。ここまでの場面に、台詞はほとんどない。ポール・アンダーソン監督は、男と周囲の男たちを力強く描くが、説明は皆無。あるのは映像だけ... ...続きを見る |
2008/05/08 03:55 |
王妃の紋章
素晴らしいセットだ。多大な費用と労力を思う存分注ぎ込んだ豪華絢爛な王宮。唐時代後期、五大十国と呼ばれる時代を背景に、王宮に暮らす王一家の濃密な愛と憎しみをダイナミックに描いている。おそらくシェイクスピア劇を発想の原点にしているだろうが、王と王妃、王妃と義理の息子である皇太子、そして皇太子が愛している医師の娘・・・どの人間関係をとってみても、切れば血が噴き出すような設定にしてある。若い頃野心を燃やし、王となるために政略結婚した男の悲劇も終盤では劇的に描かれる。物語は重陽の節句当日の早朝四時から始ま... ...続きを見る |
2008/04/26 05:11 |
大いなる陰謀
この物語には五つの立場が設定されている。国防の中核で働くエリート政治家。彼の話を書き留める初老の女性ジャーナリスト。ベトナム戦争当時、反戦運動に身を投じた大学教授。有望な彼の教え子。そして、従軍したかつての教え子たち。この五つの立場から、アフガン戦争が語られる・・・というのではない。五つの立場から立体的に浮かび上がってくるのは、国家と個人、政治への無関心の是非である。9.11テロが超大国アメリカに与えた衝撃の大きさが、当時の政治家たちに誤った判断を与えてしまったことが描かれ、貧民層から有望な大学... ...続きを見る |
2008/04/22 20:11 |
ブラックサイト
冒頭、映し出される子猫。餌が置かれ、カメラが設置される。籠から出された子猫は、餌皿の前に置かれた粘着パッドに足を捕われ、動けなくなる。男がその様子をネットで公開。衰弱死するまでアクセス数は増えていった。その様子を観察していたのはFBI捜査官、ダイアン・レイン。同僚だった夫の死後、娘と母の三人で暮らしている。子猫を殺した男の犯行は、人間に及ぶ。ネットのアクセス数が増えれば、薬物注入量が増え、男は死に至るのだ。残忍な犯行はさらに進み、ふたり目の犠牲者が。犯人の手は、ダイアン・レインの娘に及びかけ... ...続きを見る |
2008/04/17 20:13 |
スルース
監視カメラが縦横に張り巡らされた瀟洒な邸宅。大成功を収め、莫大な資産を持つミステリー作家の家に、現れるのは作家の妻の愛人。若く魅力的でセクシー。妻との離婚を求めにやってきた彼に、作家はゲームを申し出る。高価な宝石を盗み、それを売れというのだ。自分には保険金が入ってくる、お前は妻と海外で楽しく暮らせ、と。売れない俳優で、美容師や運転手をしている彼はその誘いに乗って、外から忍び込むが、待っていたのは銃を持った作家。だが銃弾は空砲で、彼は肝をつぶして逃げていく。数日後、やってきたのはロンドン警視庁の刑... ...続きを見る |
2008/04/09 14:41 |
ノーカントリー
ベトナム戦争から20年後、携帯電話がなかった時代。2度ベトナムに召集され、退役後溶接工をしていた男が、メキシコ国境近くの平原で鹿を撃っている。彼は、偶然、麻薬取引に絡んだ銃撃戦の跡を見つける。残っていたのは、死体と数台の車、数多くの薬莢、荷台に残ったままの麻薬、そして、鞄いっぱいの札束。金を手にした男の人生が一気に急変する。麻薬がらみの男たちが、彼を追いかけ始めたのだ。追ってくるのは、ハピエル・バルデム演じる、奇怪な殺人鬼。圧搾空気の入ったボンベを常備し、噴出する空気で人を殺し、ドアのシリンダー... ...続きを見る |
2008/03/29 16:23 |
デッドサイレンス
女腹話術士とその腹話術人形。かつて繁栄していた地方の村で見捨てられた、大劇場。その村の広壮な館に住む名士一族。ゴシック趣味豊かに、それらの要素を緊密に結び、意匠を凝らして作り上げられたホラー、「デッドサイレンス」。幕開けは、アパート住まいの若夫婦のなにげない日常。だが、男に送られてきた腹話術人形が惨劇をもたらす。妻は、なぜ、惨殺されたのか。謎を追って、男は生まれ育った土地へ戻る。活況を帯びていたその街も、今は寂れて人影も疎ら。父は、若い妻と大きな屋敷に住む。男は、名士の家系の末裔だったのだ。葬儀... ...続きを見る |
2008/03/24 19:09 |
明日への遺言
大岡昇平の原作を読んで感動した小泉尭監督の映画化への熱意がようやく実った形となったといわれている。戦後、戦争責任を曖昧な形で背負おうとしなかった旧軍幹部の多い中、名古屋地区の本土防衛の最高責任者だった岡田資中将だけが、その責任を法廷で自ら背負って絞首刑となっていった。この作品は、ほとんどが横浜で行われた裁判で構成されている。意外に思うのは、回想シーンがまったく使われていないことだ。テレビドラマの戦争ものには、必ず回想シーンが登場する。センチメンタルな音楽が流れ、お涙頂戴となるのだ。だが、この作品... ...続きを見る |
2008/03/17 04:55 |
チームバチスタの栄光
現役医師が執筆した大好評の医学ミステリーを原作に、コメディータッチでまとめた「チームバチスタの栄光」。敏腕心臓外科医が犯した手術ミスを、二人の人間が解き明かしてゆくという物語。探偵役は、竹内結子演じる「不定愁訴外来」医師と、院長も頭を下げる厚生労働省の大臣官房付き調査官。心臓外科にまったく知識のない観客にもよくわかるように、随所に工夫がしてあります。手術チームへの聞き取り調査のなかで、それぞれの担当部門を簡潔に説明し、アニメの心臓で「拡張型心筋症」手術を解説したり。心臓手術のミスの原因を探る... ...続きを見る |
2008/03/11 19:16 |
ラスト・コーション
昭和12年以降、日本は上海から南京へと戦線を拡大した。蒋介石率いる国民党軍は、アメリカの援助を受けながら陥落した南京からさらに奥地の重慶へと拠点を移してゆく。中国が大日本帝国の支配を受けていた時代の上海。侵略者に従うか、それとも反抗するか、または媚をうるか、それは当時の中国人にとって生き抜くための命がけの選択だっただろう。この物語には、肉親を日本に殺され、反日組織に入った大学生たちと、日本の傀儡政権に協力することで出世してゆく男とが描かれている。香港で出会った演劇サークルの大学生たちが、思い込み... ...続きを見る |
2008/03/02 05:57 |
ヒットラーの贋札
物語は、第二次世界大戦直後のパリから始まる。貧相な身なりをした中年男が、ホテルに持ち込んだ大金で服を買い、カジノで大もうけをする。互いに目の会った娼婦と夜を過ごすが、腕に刻まれた認識番号でナチの収容所にいたことがわかる。翌朝、閑散としたプールのほとりにひとり座った男の脳裏に、忌まわしき日々の記憶が蘇る・・・ロシア出身で、名うての贋金つくりだった男。ドイツで荒稼ぎして、高飛びする寸前、女とベッドにいたところを、警察に捕まってしまう。ユダヤ人だった男の、収容所での過酷な日々が始まる。だが、男には優れ... ...続きを見る |
2008/02/25 21:11 |
潜水服は蝶の夢を見る
映画は、不鮮明で歪んだ映像から始まる。42歳で脳出血を起こし、奇跡的に助かった著名な雑誌編集長。彼の見た世界が描かれてゆく。覗き込む医師と看護師。やがて現れる言語療法士と理学療法士。そして、美しい妻。脳出血の部位は脳幹だったと簡潔に説明される。脳幹は、脳の中でも生命の根幹を司る重要な部位。脳幹出血は、多くが死に至る。しかし、主人公は助かったのだ。だが、動くのは左目のみ。療法士は、残された左目だけでコミュニケーションをとる手段を選ぶ。使用頻度の多い順に並べられたアルファベットを読み上げて、選びたい... ...続きを見る |
2008/02/22 19:57 |
エリザベス・ゴールデンエイジ
過去、いくつも作られた歴史大河ドラマ並みに平凡な大作に終わるだろうと予測されていた、前作「エリザベス」。ところが、公開されてみると、田舎暮らしのか細き乙女が、恋も捨て、英国女王の座につくことを決意するまでを、ケイト・ブランシェットが魅力的に演じて、大ヒット。評価も高く、想定外の出来栄えとなって、めでたし、めでたし。それから数年、かねてから暖められていたに違いない、続編が今回の作品。私は、予告編を見て、かなり期待してしまいました。無敵艦隊を要する、カトリック王国・スペイン。一方、、プロテスタントを... ...続きを見る |
2008/02/22 06:06 |
かあべえ
日清・日露と勝ち進んだ軍事大国日本、いや、大日本帝国が、中国に野心を燃やし始めた頃。陸軍の謀略によって大陸進出を始めた祖国に、深い憂慮と危惧を抱いたドイツ文学者。その妻とふたりの娘たちを描いた物語だ。治安維持法という、国家への反逆者を弾圧する法的手段を持っていたかつての権力者は、片っ端からリベラルな主張者たちを検挙していった。父親という、一家の大黒柱を失った女ばかりの家族が、どれほどの苦難に遭遇したかを、この作品は雄弁に物語っている。かあべえは、賢い。夫を愛し、信じていても、夫が反逆者となっ... ...続きを見る |
2008/02/16 19:52 |
アメリカン・ギャングスター
冒頭、事実に基づく、という一文が現れる。この物語は、実際に起きた出来事を元に創作されていると判断していいだろう。ベトナム戦争が、アメリカにどれほどの麻薬を持ち込んだかが、この映画の根幹に存在している。しかも、サイゴンから軍用機と軍人の手を借りて運び込むという、大胆な手法だ。ハーレムを長年牛耳ってきた大物ギャングの右腕として影のように生きてきた男が、大物の死後、そのやり方を手本にサイゴン直送の高純度の麻薬を売りさばいて、成り上がっていく物語だ。一方、賄賂にまみれた警察官の中で、汚い金には目を向けず... ...続きを見る |
2008/02/05 19:04 |
スウイーニー・トッド
美しき妻を、姦計を図った判事に奪われたすえ、無実の罪を背負って15年を耐えた腕利き理髪師・スウイーニー・トッド。復讐の鬼と化して戻ってきたロンドンで出会ったのは、ヘレナ・ボナム・カーター演じる不気味なパイ屋のマダム。妻を奪い取った判事は、その美しき娘を部屋に閉じ込め、妻にしようとしている。彼女に恋をした若き船乗りは、救い出そうとする。名を偽って理髪店を開き、判事たちがやってくるのを待つが、彼の正体を知った理髪師が強請りにやってきてから、彼の狂気は際立ってくる。首を掻き切る時に噴き出る血!血!血!... ...続きを見る |
2008/01/28 19:30 |
シルク
日本の幕末の頃。絹織物が莫大な利益を上げていたフランスの小さな村から、若き軍人・エルヴェが日本へ旅立つ。アフリカから仕入れていた蚕の卵が病気にかかり、健全な卵が必要になったのだ。しかし、日本は遠い。ヨーロッパ大陸を横切り、シベリア横断鉄道を経て酷寒のロシアを通ってウラジオストックから船で日本海へ。映画の中では酒田から上陸。馬で山形の小さな村にたどり着くという壮大な旅程。生きて戻るだけでも大変だ。山形で待っているのは、謎の男。傍らにはべる妖艶な美女に魂を奪われたエルヴィは、フランスへ戻り、妻との静... ...続きを見る |
2008/01/28 07:17 |
ジェシージェームズの暗殺
南北戦争の後、北部の金持ちから金を強奪して貧しいものに分け与えたといわれるジェシージェイムズ。敗北した南部の庶民からの圧倒的な人気に、マスコミもことさら彼を持ちあげる。果ては、英雄となって伝記まで出回る始末。この映画、もちろん主演は、制作も兼ねているブラッド・ピット演じるジェシージェイムズだが、重要なのは彼に憧れ、仲間になり、最後には裏切り者となる男。この男を、ベン・アフレックの弟、ケイシー・アフレックが個性的に演じている。 物語のテーマは、ヒーローとなったジェシー・ジェイムズの孤独と不安... ...続きを見る |
2008/01/17 18:58 |
ALWAYS 続・三丁目の夕日
大評判となった前作。制作会社・ロボットにとってもエポック・メイキングになった前作。勢いに乗って作られた続編です。やっぱり、CG活用を大きな売り物にしてきたロボットらしく、昭和30年前後の東京の再現シーンには見所が多い。日本橋が蘇り、羽田空港からプロペラ機が飛び立ち、夕日の当たる東京タワーも美しく描かれている。だけど・・・前作も同様でしたが、登場人物にリアリティーが感じられず、頭でこしらえたきれいごとの絵空事に見えてしまうのは残念・無念。特に、今回は、詐欺が出てきましたが、これは皆さんご承知のとお... ...続きを見る |
2008/01/08 05:46 |
エイリアンVSプレデター2
正月明けの横浜MM109。AV2で2008年の映画館通いが始まったというのも、どうも・・・。いざ、入場が始まってみて、びっくり!チケット持って並んでいるのは、ほとんどオヤジだ!平均年齢40は超えているような。好きですねえ、オヤジはこんな映画。やはり、ウルトラマンとゴジラに育てられてしまったのでしょうか。さて、本編。地球外から宇宙船がアメリカの田舎の山中に墜落するまでは、十分に期待させてくれます。しかし、鹿を撃っていた親子がいきなり殺されてからは、歯止めがかかりません。人間ドラマには、まったく... ...続きを見る |
2008/01/05 19:22 |
茶々・天涯の貴妃
テレビ朝日系の時代劇が秋に打ち切られ、時代劇制作にさらなる困難が生じてしまった東映。ヒット続きの東宝と比べ、年間興行成績も大きく差がついてしまった東映。なんとか、突破口を、という切実な思いも、結果に実らせるのはさらに難しい。昨年の正月映画「大奥」の第2弾を、という企画で始まった女優主演の時代劇「茶々・天涯の貴妃」。映画の成否を握る主演女優のキャスティングは、大きな誤算を生じたらしい。米倉涼子を筆頭に、出演を断った大物女優の名前がいくつも流れている。ようやく承諾してくれたのは、元タカラジェンヌ... ...続きを見る |
2007/12/30 19:48 |
アイアム・レジェンド
癌の特効薬として、既成のウイルスを変異させた新薬が発見され、数多くの患者が救われたというニュースからこの物語は始まる。それから3年・・・。ニューヨークはがらりと変わり、廃墟と化している。そこに犬と住む、ただ一人の住人。映画は、この主人公の軍医の日常を丹念に描く。生存者にラジオで呼びかけ、夜は厳重に閉ざされた家で犬と眠る。活動できるのは、太陽が上っている間だけだ。医者である主人公は、地下の研究室で特効薬を探し続けている。前半の描き方は、サスペンスが充溢して、飽きさせない。癌の新薬が、体内で変異... ...続きを見る |
2007/12/19 16:09 |
ヘアスプレー
これは傑作!60年代ボルチモアを舞台に、チビ・デブ女子高生がお勉強そっちのけでダンスにハマッてスターになるという物語。黒人差別が公然と存在していた頃の様子がとてもよくわかる。ニグロ・ブラック、という今では使えない単語も平気で出てくる。ダンス会場では人種の間にロープが張られて、敬虔な白人クリスチャンの母親は、黒人に近寄らせない。そんな時代背景を舞台に、踊って踊って踊り続けるのがこの映画!キャスティングも凄い!ヒロインのママが、ジョン・トラボルタ。最近、渋い中年ワルを魅力的に演じるようになったト... ...続きを見る |
2007/12/07 14:54 |
ミッドナイト・イーグル
原作は高嶋哲夫。慶応卒、アメリカ留学後、原子力研究所所員。小説家としての本格的デビュー「イントウルーダー」も原子力発電所のミステリー。それと同時に研究員を辞め、離婚も経験。奥さんと子供はアメリカへ。そういった体験が、ストーリーにも反映されているようです。タイトルのミッドナイト・イーグルは、アメリカが誇るステルス戦略爆撃機の呼称。物語の発端は、このミッドナイト・イーグルが長野県の山中に墜落したところを主人公の戦場カメラマンが偶然に見るところから始まります。冬山で展開するステルス搭載の核爆弾をめ... ...続きを見る |
2007/11/30 05:08 |
ブレイブ・ワン
ニューヨークを愛し、街の音を採り、さわやかなコメントをFMラジオを通して送り続けていた美しいヒロイン・ジョディ・フォスター。医者の恋人との結婚を控え、幸せに満ちた人生を送っていた。そこに訪れる突然の不幸。たむろしていた不良たちに散歩の途中に愛犬を奪われた末、殴る蹴るの暴行を受けたのだ。ヒロインは重傷を負い、恋人は死んでしまう。ヒロインの世界は一転する。愛すべき日常が恐怖に変わる。平安が不安に化し、色彩豊かだった明日が漆黒の闇となった。警察の捜査は進まず、ヒロインは身を守るために違法の銃を入手する... ...続きを見る |
2007/11/23 05:44 |
4分間のピアニスト
NHK教育テレビ「ドイツ語会話」で、初めて「4分間のピアニスト」を知った。わずか数分間のフィルムを見ただけで大きな期待を抱いた。素晴らしい着眼。過去に傷を負い、第一線から退いた老ピアニストと、抜きん出た才能を持ちながら殺人犯として収監されている若き天才ピアニスト。ふたりがぶつかり合い、認め合って、コンテストに臨むというのだから、ぜひとも見たいと思わずにはいられなかった。主演のハンナー・ヘルッシュプルングは、期待に違わず、体当たりの熱演。クリス・クラウス監督のオリジナル脚本も凄い。冒頭、首吊り... ...続きを見る |
2007/11/21 07:51 |
オリヲン座からの招待状
シネマコンプレックス全盛の今、昔懐かしい映画館をめぐる物語を、浅田次郎が発想したのは当然かもしれない。テレビに押されて寂れて消えてゆく、街角の映画館には哀愁が漂い、ノスタルジーに満ちている。この映画企画を進めていった人には、もてはやされている「昭和」を背景に、「鉄道員・ぽっぽ屋」をヒットさせた浅田次郎原作の強みに目をつけたのだろう。黒木和雄監督「父と暮らせば」で数々の女優賞を受賞した宮沢りえと同作品で父を演じた原田芳雄を配すれば、優れた作品になるかもしれないとも思ったはずだ。だが、この物語は... ...続きを見る |
2007/11/16 19:16 |
タロットカード殺人事件
72歳のウッディーアレンが、23歳のスカーレット・ヨハンセンと共演した本作品の舞台はロンドン。ウッディーアレンは、アメリカ人奇術師。ウッディーアレン自身、16歳でカードマジックを披露しているほどだから、奇術の年季は入っている。ヨハンセンの役どころは、新聞記者志望の女子大生。今や旬たけなわのセクシー女優として、数々のゴシップを振るまいている彼女らしく、取材に訪れたホテルではすぐに有名監督と寝てしまうし、殺人事件の容疑者とは恋に落ちて寝てしまう設定。ただ、なぜか、めがねをかけているのですね。娼婦... ...続きを見る |
2007/11/09 16:37 |
犯人に告ぐ
悲痛な表情で新宿を歩く中年女性。幼い息子を誘拐され、身代金を持って犯人の出現を待つシーンから、この作品は始まる。白黒に近い画面が陰影を深め、緊迫感を増幅させる。見るものを一気に引き込んでゆく、優れたシーンだ。豊川悦司演じる警視が現場を率いていたが、結果的に子供が殺され、犯人逮捕に至らない。主人公は神奈川県警本部から足柄署に左遷させられる・・・。原作どおりの筋運びだが、上下2巻の長編小説から余分な部分をそぎ落とし、凝縮させていった福田靖氏の包丁さばきは見事。冒頭のシーンに、心臓の弱い妻の出産を... ...続きを見る |
2007/11/05 15:50 |
幸せのレシピ
妻となり、母となったキャサリン・ゼタ・ジョーンズさん。その重量感、いえ、存在感はいや増しに増えているようです。驚くのは、ベットで朝目覚めるシーン。敏腕シェフ役の彼女は、早朝から魚を買出しにいかねばならず、4時半に起きる場面。枕元で鳴り続ける目覚まし時計のベルを止めるために、伸びる腕・・・の太さ!筋肉なのか、それとも・・・。「シカゴ」の極彩色の悪女にも度肝を抜かれましたが、今回もびっくり。そんなヒロインが、素敵な恋に落ち、やせるほどに思いつめ・・・という設定には、やはり無理が出るのか、今回のテ... ...続きを見る |
2007/10/25 19:10 |
グッドシェパード
ハリウッド映画には、時として驚くほど緻密で堅牢な作品が出現する。私は、この作品を観て、LAコンフィデンシャルを思い起こした。タイトルバックに浮かび上がる、粒子の粗い画像の中には、正体不明の男女がベッドで愛し合い、謎の言葉を残す。実は、この映像が最後まで複線となって巧みに貫かれている。CIA成立が第2次世界大戦参戦を余儀なくさせられた時点で誕生し、ソ連との冷戦が始まった時点で本格的に整えられていったようすがよくわかる。物語は、キューバ侵攻に備えた主人公が、内部からの情報漏洩によって極秘作戦が失敗し... ...続きを見る |
2007/10/25 08:01 |
めがね
レディースデイ・水曜日11時のMM109は、満席。最後に駆けつけた私は最前列の左隅!なんという人気でしょう!前作「かもめ食堂」で、独特の癒し系テイストを表現し、多くのファンを作った荻上直子監督。今回は、より「癒し」を深めたもよう。与論島で撮影された物語ですが、映画の中では無名の「田舎」。映像で見ていると、外国のような気もします。春、飛行機から降り立った小林聡美さんが、重い荷物を引っ張ってようやく到着する民宿らしき場所が舞台。光石研さん演じる主人と、カキ氷を作っている謎の女性・もたいまさこさん。前... ...続きを見る |
2007/10/17 20:33 |
クローズド・ノート
重厚な警察小説「犯人に告ぐ」を読み終えた私には、「クローズド・ノート」の原作者が同じ雫井脩介さんだとは思えません。この物語の鍵は、タイトルどおり、”ノート”。竹内結子さん演じる小学校教諭が、かつて住んでいた部屋に残されていた「日記」。その部屋に住み始めたのは、教師志望の女子大生、沢尻エリカ。偶然、見つけた「日記」の中には、4年3組を受け持った教師の情熱と、現実との戦いが描かれていたのです。一方、バイト先の万年筆店で出会ったのは、伊勢谷友介演じるイラストレーター。女子大生は、日記に描かれてゆく... ...続きを見る |
2007/10/12 15:30 |
パーフェクトストレンジャー
クレジット・タイトルを見ても、原作は見当たらず、ストーリーと脚本だけがクレジットされている。おそらく、若い脚本家のオリジナル脚本だろう。日本では希にしか起きないが、ハリウッドでは無名の新人が書いた脚本が映画化されることがある。「ロッキー」も「グッドウイル・ハンティング」も、若きスタローンやマット・デイモンが書いたシナリオ売れて実現した映画だ。それは、ともかく、「パーフェクトストレンジャー」のラストにパーフェクトな満足を感じる観客は少ないだろう。アカデミー賞女優、ハル・ベリーが魅力たっぷりに野心家... ...続きを見る |
2007/10/04 20:21 |
包帯クラブ
原作者、天童荒太のベストセラー「永遠の仔」は、魂に傷を受けた人々の犯罪物語だったが、「包帯クラブ」は、魂の救済をテーマにしている。さまざまな傷を抱え込んで生きている人たちの魂を救うために始めた「包帯クラブ」。この発想が優れている。辛い思い出の場所に、包帯を巻き、その写真をネットで公開することで、傷を癒そうというアイデアだ。石原さとみが演じる女子高生が、苦しみの中で孤独を募らせている存在から、他者のために何かをやろうとする者に変わっていく過程が物語の中心になっている。優れた物語は、主人公が変わって... ...続きを見る |
2007/09/26 19:57 |
HERO
すでに放映されたテレビドラマを観てないまま、映画館へ。14日は東宝サービスデーとやらで、1000円。前売り券を買った人は、どう?日比谷スカラ座はしばらくぶり。近くに建設中の東宝本社ビルも外観は見えてきた。さて、映画はテレビドラマ未見の方々にもわかるように、まずは東京地検のメンバー紹介。キャラクターを説明するのに、テレビ通販ダイエット・社交ダンス・検事自身の離婚裁判、を活用。物語の推移につれて、この3点セットは時折顔を出して、笑いネタになっていますね。事件の発端は、傷害致死。突然の暴力行為で通... ...続きを見る |
2007/09/14 17:13 |
オーシャンズ13
豪華なキャストと、壮大な泥棒計画。騙し、騙される、意外性に富んだプロット。これが、オーシャンズシリーズの魅力。今回の舞台は、オープン直前のラスベガス・超高級ホテル。アル・パチーノ扮するホテルオーナーに騙され、寝たきりになってしまった仲間の仇を打とうと、またまたオーシャン一味が再結集。狙うは、カジノの莫大な掛け金と、ダイヤモンド。近年、こういった娯楽作品は、突破困難な厳重セキュリティーを、巧緻なアイデアで忍びこんで、めでたし、めでたし、となるパターン、多し。今回は、最新コンピューターがホテルの... ...続きを見る |
2007/09/10 14:38 |
魔笛
アマデウス・モーツアルト、と聞けば、映画ファンならピーター・シェファー原作の映画「アマデウス」を思い出しますが、これはれっきとしたモーツアルトの永遠の名作「魔笛」の映画化。きっかけは、芸術世界の援助団体として知られるピエール財団の会長のアイデア。「魔笛」を映像ならではの世界に置き換えて、古典音楽やオペラに馴染みの少ない世界の人々に「魔笛」の素晴らしさ、モーツアルトの魅力を伝えたいというところから企画が進んで行ったと言うことです。監督のケネス・ブラナーは、英国屈指のシェイクスピア役者で、シェイクス... ...続きを見る |
2007/08/29 16:16 |
夕凪の街、桜の国
原作を読んでいない私は、前半途中、昭和33年の広島を舞台にした場面で麻生久美子さん演じる平野皆実が原爆病で死んでしまったので驚きました。これからどうなるのだろうか・・・すると、突然、平成19年の東京。そうか、こうなっていたのか、と納得。もちろん、原作をご存知の方は驚かないでしょうが。広島の被爆をテーマにした井上ひさし原作の「父と暮らせば」は、大変素晴らしい映画になっていましたが、宮沢りえさんが演じたヒロインも、この作品の皆実さんと同じく、「あないに多くの人たちが原爆で死んでしもうたのに、うちだけ... ...続きを見る |
2007/08/22 14:49 |
天然コケッコー
山陰地方に四年間暮らしたことのある私には、懐かしい光景が繰り広げられて、当時のことを思い出しました。といっても、映画の舞台になった浜田市は知りません。知っているのは、単線の山陰線。どこまでも水の澄んだ、日本海。あの海の透明度は、忘れられません。さて、映画は、くらもちふさこ原作。小中学校全部で六人しかいない、過疎まっただなかの学校。突如転入してくる東京からの中学2年生男子。初夏に始まる物語は、真夏、秋、冬、を経て春で終わります。中2のヒロインが、高校生になるまでの物語。波乱万丈とは無縁の、ちょっと... ...続きを見る |
2007/08/18 08:45 |
怪談
江戸時代末期から明治にかけて活躍した落語家・三遊亭円朝の怪談「真景累ヶ淵」。これは、八時間にも及ぶ長いお話しなのだそうですが、一番人気のある部分だけが繰り返し演じられてきたようです。映画化も、溝口健二監督「狂恋の女師匠」といった古い作品があるように、観客が面白いと思う部分は、やはり、前半の恋物語。今回の作品の中でも、最も印象深かったのが、煙草売りの新吉と、三味線師匠・豊志賀が出会う場面。親の因果を色濃く引き摺るふたりが、運命の糸に絡め取られるように出会う、雪の日。中田監督は、丁寧にふたりのカット... ...続きを見る |
2007/08/10 06:18 |
ダイ・ハード 4.0
日本のバブル景気華やかなりし頃、大画面で登場した「ダイ・ハード」。高層ビルを占拠したテロリストたちを描いても、まだ、9.11テロを知らない観客たちは、自分とは無縁の娯楽世界を楽しんでいれば良かったのです。完全装備の巨大な敵に、さえない中年オヤジデカが臨み、知恵と胆力で勝ってしまうという物語は、世界中の映画ファンから喝采を浴びました。それから、十数年。残り少ない頭髪を、潔くスキンヘッドにして帰ってきたジョン・マクレーン刑事。開巻、娘といちゃつく青年にいちゃもんつけ、娘に「最低ッ!」と嫌われまくる場... ...続きを見る |
2007/08/01 15:41 |
あるスキャンダルの覚え書き
世界中の女優を見回しても、貫禄では随一のジュディ・デンチ。今回の役は、ロンドン下町の労働者の子供たちが通う中学校に勤める定年前の独身教師を演じています。いわゆる底辺校で永年歴史を教えてきたジュディ・デンチの前に突然現れる、美人教師・ケイト・ブランシェット。彼女は、大学時代の教授と結婚し、ダウン症の長男、多感な長女と暮らす、上流階級の妻。長男の世話に明け暮れていた彼女が、ようやく子育てを一段落させて、念願の職場を得たのが美術教師。だが、現実は厳しく、生徒たちには理想の教育は無縁。ジュディ・デンチに... ...続きを見る |
2007/07/20 16:20 |
腑抜けども悲しみの愛を見せろ
予告編から期待していた作品。主演の佐藤江梨子さんは173センチ。この身長を活かして、極端エゴ女を個性的に演じて、見事なキャスティング。ド派手な姉と地味な妹役の佐津川愛美を両極に対峙させて、姉と妹の葛藤を戯画的に描いた作品。原作の本谷有希子さんの執筆動機は知りませんが、家族、姉妹に深い興味を抱いていることはよくわかります。舞台は、能登地方の農村。自分に女優の才能があると勝手に思い込み、家族の苦労や迷惑をさらさら感じないまま、東京で芽の出ない日々を送る姉。その姉が両親の事故死で葬儀のために故郷へ。こ... ...続きを見る |
2007/07/12 19:54 |
ゾディアック
「カポーティ」以来、犯罪ノンフィクションというジャンルはしばしばベストセラーを生んでいます。日本でも、佐木隆三さんの「復讐するは我にあり」が有名です。原作「ゾディアック」は、映画の中で主人公となる、新聞社の漫画係が執念で完成させたノンフィクション。記者でもないのに、稀代の連続殺人鬼、ゾディアックの真相を探ることに夢中になってしまい、出版は果たせたものの、再婚相手の妻と息子たちとも離れ離れになる始末。この犯罪が起きた時代が六十年代だったせいもあり、作品で描かれた警察の捜査も、機敏とはいえないよ... ...続きを見る |
2007/07/04 15:06 |
舞妓Haaaan!!!
以前から、映画館で予告編を見ていたせいで、阿部サダヲ演じる「舞妓オタク」が、本物の舞妓をもとめて京都へでかける、というあらすじだけは理解していたつもりです。そんな主人公をなぜか愛する職場の同僚OLが、京都まで彼を追いかけて行って舞妓になってしまうことも。ですが、それからどうなるのか、さっぱり予測もつかずに劇場へ。阿部サダヲを映画で見るのは初体験。ファーストシーンから一気にハイテンション。台詞も膨大で、笑うどころか疲れてしまいます。どうも、前半は名手・クドカンの脚本をもってしてもエンジンがかからず... ...続きを見る |
2007/06/22 14:34 |
ザ・シューター 極大射程
狙撃、暗殺に抜群の技量を持った兵士がCIAがらみの陰謀に利用されて命を狙われるというストーリーは、今までにもハリウッド映画で取り上げられてきました。古くは、スタローンの「ランボー」。ベトナム帰りの特殊工作員が国に反逆すると言う設定でした。「ランボー」で印象的だったのが、闘いで受けた傷を自分で治すという場面。針に糸を通して自分の腕を縫う場面は、とても痛そうに見えました。今回の「ザ・シューター」でも、同じ状況が使われています。防弾チョッキなしに受けた弾丸二発。腿と胸に開いた穴をどうやって塞いだかは映... ...続きを見る |
2007/06/18 19:59 |
プレステージ
マジックは、観客が目の前で見て驚くもの。騙される快感がすべてだといえるでしょう。そのマジックを、CGの発達した今の映画で見せてもらっても・・・というのが見る前の危惧でした。その危惧は解消されたとはいえませんが、映画なりのマジックを楽しませてもらった気もします。舞台は19世紀のロンドン。マジシャンが脚光を浴びていた時代。スター・マジシャンになることを夢見る野心満々のふたりの青年が、お互いの技を盗みあい、挙句の果てには殺しあってしまうから恐ろしいものです。ストーリーの中心になるのは、「瞬間移動」... ...続きを見る |
2007/06/14 21:08 |
女帝・エンペラー
シェイクスピアの世界を、中国の古代に置き換えた作品。フォン・シャオガン監督が、歴史的事実にどこまでこだわっているのか、私にはわかりませんが、壮麗な皇帝の城を舞台に繰り広げられる権力と愛欲の壮絶な葛藤劇は、見応えのあるものになっているようです。主演のチャン・ツイイーは、すでに定評のあるアクションも交えて、美しき皇后を魅力的に演じています。兄を毒殺し、皇帝になった弟に嫁ぎ、ふたたび皇后としての権力を手にしながら、美貌の甥を愛したために、悲劇的な最期を遂げる皇后。陰謀、裏切り、恋、闘い、と見せ場は... ...続きを見る |
2007/06/06 16:25 |
眉山
この作品の白眉は、なんといってもクライマックスの徳島・阿波踊り。この撮影は文句なしに見事です。詳しいことは知りませんが、数多くの現地「連」のみなさんの全面協力なしには実現できないシーンですね。カメラは何台使ったのか、どこから狙ったのか、そんなことを考えさせるビッグシーンでした。もちろん、現地のフィルム・コミッションフル稼働で、エキストラ撮影も見事。私見では、画面中の誰一人として、カメラを意識したり、松嶋さんに色目を使ったりする方はいません。低迷時期の邦画には、隠し撮りが多くて、振り向かない通... ...続きを見る |
2007/05/25 15:04 |
ゲゲゲの鬼太郎
CG技術の発達で、かつては映像化が諦められていた原作が、次々に映画化されているようです。「妖怪大作戦」「どろろ」に続いて、「ゲゲゲの鬼太郎」。キャスティングもバラエティーに富んでいて面白く、ちょっと期待していましたが、残念ながら満点とはいきませんでした。ストーリーに意外性がなく、お涙ちょうだいになっているのは減点。冒頭に出てくる遊園地建設反対のお話は途中ですっかり姿を消してしまって、化け狐対鬼太郎の闘いになっていくのも、よくわかりません。ヒロイン・井上真央さんの弟が、鬼太郎を呼び出す気持ちも... ...続きを見る |
2007/05/21 15:46 |
神童
才能は、生まれつきのもの。神が、お与えになるものです。才能は表面ではわかりにくいように思われますが、そんなことはありません。点数だってつけられます。わかりやすいのは、駆けっこ。小学生を一列に並べて、同時に走らせてみれば、誰が短距離走に才能を持っているかは一目瞭然。なかでも、ずば抜けた才能は、誰の目にも明らかなのです。今は、数多くの女の子が幼い頃からピアノを習いますが、大抵は「教養程度」で終了。世間に名を轟かすピアニストには、なれません。「神童」は、努力家の青年と、13歳の天才ピアニストの物語... ...続きを見る |
2007/05/17 20:15 |
バベル
明治以来、銃を国民から取り上げた我が国では、銃による被害は極めて希です。が、ニュースを見れば、世界各国、銃による悲劇は毎日のように繰り返されています。この作品のテーマは、「銃」。しかも、極めて悲観的な結果ばかりが用意されています。アメリカの学校で銃の乱射事件が起きても、多くのアメリカ人たちの銃への信頼は揺らがず、「銃が悪いのではない。扱い方が悪いのだ」と、全米有数のロビー活動で知られる全米ライフル協会はコメントを出し続けています。「自分を守るための、必要悪としての銃」が、消え去ることはないで... ...続きを見る |
2007/05/10 20:26 |
東京タワー
昭和35年生まれくらいに設定されている主人公。今では四十代後半。オダギリ・ジョー演じる主人公が、九州・小倉に生まれ、田川近くで育ち、大分の全寮制美術学校でデザインの基礎を学んで、武蔵野美大をかろうじて卒業する。この物語のテーマは、タイトルどおり、「オカン」。オカンを演じる樹木希林さんは、ラスト近く、末期癌で壮絶な苦悶の果てに亡くなる様を渾身の演技でみせますが、前半は持ち味のまろやかでとぼけた感覚で、苦労続きのひとりの女性・妻・母を演じてゆきます。この作品は、2007年公開の邦画を代表する一本... ...続きを見る |
2007/05/09 20:34 |
ハンニバル・ライジング
不勉強で申し訳ありません。これも原作未読のまま、映画館へ。さて、ジョナサン・デミ監督「羊たちの沈黙」を観て以来、私もハンニバル・レクター=アンソニー・ホプキンスの公式を脳味噌に刷り込まれてしまったひとり。ヒロインが、ジョディ・フォスターでもジュリアン・ムーアでも、はたまたエドワード・ノートンが相手役になっても、その公式は頭から離れることはありません。それほど、アンソニー・ホプキンスのレクター教授は強烈に造型してあるのですね。近頃はやりの「ライジング」ストーリーは、とうとう、ハンニバル・レクタ... ...続きを見る |
2007/05/01 17:13 |
ラブソングができるまで
ここ数年、最も愛してきた映画ジャンルが、ドリュー・バリモア主演のラブコメディー。「ウエディング・シンガー」「25年目のキス」「50回目のファースト・キス」「2番目のキス」と、タイトルには番号とキスが多いのですが、タイトルと内容が一致しないものもあるので、要注意。さて、今回は、無名の作詞家・ソフィーが彼女の役柄。といっても、姉の経営する痩身具店を手伝うまったくの素人。ヒュー・グラント演じる80年代のスター歌手・アレックスの住むマンションに、植木の水やりに出かけたのがきっかけで、新曲作りに悩んで... ...続きを見る |
2007/04/27 15:55 |
ドレスデン・運命の日
1945年2月、ヒットラー率いるドイツ軍は、ソ連と連合軍に挟まれて崩壊寸前まで追いつめられていました。ドイツとソ連の攻防戦を、ソ連側から描いた「スターリングラード」、ナチス崩壊間際のヒットラーと周辺人物を描く「ヒットラー・最期の12日」などを見ると、戦争末期のドイツの状況がよく理解できます。ドレスデンは、東京と同じく、無差別爆撃を受けた都市で、ドイツの中でも最も悲惨な歴史を持つ都市です。1945年3月の東京大空襲は、ドレスデン空襲の戦果を得た米英軍が、それ以上の結果を期待して東京に適用したと... ...続きを見る |
2007/04/24 14:42 |
蒼き狼
原作は森村誠一氏。ハルキ文庫刊、ということですから、たぶん、この映画のために角川春樹プロデューサーからの依頼で執筆したものでしょう。かつて、若き角川氏が森村誠一原作「人間の証明」の製作で脚光を浴びて以来、覚醒剤で実刑を受けた後も、当時の人間関係は良好に保たれているようです。脚本の丸山昇一氏も、角川映画には縁深き人。シャレたコメディーやサスペンスを得意とする方。「あぶない刑事」の生みの親です。共同執筆は、今や昼帯のドロドロ作家として脚光を浴びる巨匠・中島丈博先生。お二人の才能と個性が加味されて... ...続きを見る |
2007/04/12 16:35 |
ラスト・キング・オブ・スコットランド
アフリカについての知識は皆無に等しく、ウガンダのアミン大統領の虐殺についても詳しくは知りません。この作品がどうして今作られたのか、それもわかりませんが、作品中の台詞にあるように、「アミン政権誕生には、英国が深く関わっている」ことが、英国製作者の製作動機になっているのかもしれません。原作または映画の主人公は、スコットランド出身の医師の卵。冒頭の家族の会話からは、父も優れた医師であることがわかり、主人公の青年は、順風満帆たる人生を約束されているエリートだと考えられます。彼は、卒業直後の気まぐれか... ...続きを見る |
2007/04/03 15:43 |
蟲師
得意な世界を映像化する場合、最も重要なのは監督の美学だと思います。大友克洋監督作品「蟲師」は、冒頭から監督の美学が明確に示されます。霧深く立ちこめる峨々たる山並み。これは墨絵の世界。目には見えない「蟲」の実存も、古来からの日本の文化を色濃く匂わせていて、宮崎駿監督の世界と類似するものがあります。江角マキコさん演じる女蟲師の、不気味な「暗闇」との関わりも、古代から日本の山村に伝えられてきた神々への惧れに通ずるものを感じ取ることができます。美しいと思ったのは、蟲にたたられ続けてきた家系に生まれて... ...続きを見る |
2007/03/30 20:06 |
ホリデイ
ハリウッド映画もファンタジー系大作が主流となって、ラブロマンスも数少なくなってしまいました。ここ数年、お気に入りはドリュー・バリモア主演作。中でも「50回目のファーストキス」「2度目のファーストキス」は大好きです。さて、今回は二組の男女を描く群像劇。しかも、映画の中心地ハリウッドとロンドン郊外が舞台。アイデアは素晴らしい。失恋に傷ついたキャメロン・ディアスとケイト・ウインスレットがどん底からの脱却のため、お互いの住宅を2週間だけ交換するというもの。映画では、これをネットで簡単に行っていますが... ...続きを見る |
2007/03/26 15:15 |
パフューム
原作を読んでいませんので、映画を見ただけの感想を記します。舞台は18世紀パリ。様々な臭いが立ち込める中、富豪や貴族たちは消臭目的で香水を愛用していた時代。映画は、臭いを感じさせようと、執拗なくらい様々な映像を映し出します。魚、鶏肉、豚、そしてそれらのハラワタや腐肉に群れる蛆虫も。そんな異臭に充ちた魚市場で生れ落ちた男に備わった天才的嗅覚が映画の主題。生母は子捨ての罪で絞首刑。残された赤ん坊は、孤児院で育ち、なめし皮工場で過酷な労働を強いられる。そんな中でも男が追い求めるのは、臭い。とうとう、... ...続きを見る |
2007/03/22 14:23 |
バッテリー
あさのあつこさんの原作を読んでいない私は、この映画がどの部分を描いているのか、まるでわかりません。舞台が下関になっているのは、原作どおりなのでしょう。病弱な弟を母親が可愛がるので、長男は愛情の枯渇で孤立している。昨年観た「嫌われ松子の一生」にも、同じような姉と妹の構図が出てきました。「嫌われ」たのは姉だけでなく、天才ピッチャーの兄でもあったわけですね。おじいちゃん役が多くなった菅原文太さんも、すっかり好々爺ぶりが板について、かつての「仁義なき戦い」のヒロノを想像することはできません。物語は、... ...続きを見る |
2007/03/15 14:14 |
魂萌え!
毎日新聞を欠かさず読んでいるのに連載小説の愛読者になれない私は、桐野夏生さんの原作は読まないまま映画館へ。夫は実直なサラリーマンを定年退職。娘はフリーター同志で同棲間近。息子はアメリカで古着屋営業中。定年後3年で夫はあっけなく亡くなってしまう。私の父も風呂場で心筋梗塞を起こして急死しましたから、この感覚はよくわかります。夫と子供たちのために人生を捧げてきたヒロインに襲いかかってきたのは、夫の不倫。しかも、十年も裏切られていたことがわかってから、ヒロインは激怒。しかも、父の遺産を狙ってか、音信... ...続きを見る |
2007/03/14 19:12 |
バブルへGO
17年前、東京がバブル景気に沸きあがっていた時代にタイムスリップして、バブル崩壊を招いたとされる旧・大蔵省の不動産取引規制法をやめさせよう・・・という発想のコメディ。原作はホイチョイプロダクション、監督は馬場康夫。とくれば、大ヒット作「私をスキーに連れてって」を連想してしまいますが、君塚良一氏の脚本は、出だし不調気味。もちろん、バブル崩壊の深い傷を負った時代を最初に描くわけですから、明るく軽いノリにはならないのでしょうが、幽鬼のような阿部寛と小木茂光が暗くて重く、ちょっぴりふけた広末涼子のギ... ...続きを見る |
2007/03/02 15:39 |
ドリーム・ガールズ
25年前、ブロードウエイで大ヒットし、日本でも上演された「ドリーム・ガールズ」。主演のビヨンセは、初演の年に生まれたという。映画「シカゴ」で脚本を担当したビル・コンドンが監督した「ドリーム・ガールズ」は、ハリウッド最良の人材と技術が結集したすばらしい作品になった。少女時代から歌い続けて、18歳になっても売れない3人組みがコンクールに出場する場面から、素晴らしい歌と演出で一気にスクリーンの世界へ吸い寄せられる。女たらしのスター歌手を演じるエディ・マーフィがとても魅力的。中年になってしまった彼は... ...続きを見る |
2007/02/26 15:05 |
Gガール
本日は、シネ・シャンテで感動的な作品を・・・と日比谷に向かったのに、先週から上映時刻が勝手に変えられていて愕然。しかたなく、近くの「スカラ座」へ。がらりとジャンルの違う「Gガール」とは・・・。まずもって、ユマ・サーマンさんにはまことに申し訳ないほど、極悪性格のヒロインになってしまいました。これほど御バカな映画は、さすがに世界中でハリウッドしか作る場所はないでしょう。相手役のルーク・ウイルソンが親友に唆されてユマ・サーマン演じるGガールをナンパする場所が通勤電車なんて・・・と思ったら、すぐにバ... ...続きを見る |
2007/02/15 14:32 |
守護神
大ヒットした日本映画「海猿」のハリウッド版だろう・・・と期待せずに劇場へ。だいたい、タイトル「守護神」は、ちょっと首を傾げたくなるシロモノ。原題そのものとは言え、どうも堅いようです。開巻、荒れ狂う冬の海で遭難した夫婦を救うシーンから、活躍の中心はケビン・コスナー。沿岸警備隊の海難救助隊・伝説の英雄を演じています。とはいえ、もう若くないので古傷は痛む。仕事に没頭しすぎてセラ・ウオードさん演じる奥さんにも離婚を迫られていると言う始末。遭難船救助で親友を失った主人公は、上司の薦めで教官へ。ここに至... ...続きを見る |
2007/02/14 14:18 |
墨攻
中国の歴史にはまったく無知なので、史実がどれだけ使われているのか、私にはわかりませんが、大変面白い物語になっています。兵士4000人しか持たない小国が、10万の大軍と真正面から闘うという設定だけでも、観客の興味を十分にそそります。追いつめられた小国が、降伏するか否か、決めかねている時に現れる、墨家の天才軍師・革離。彼がいかにして大軍を退けるか、に物語の焦点は当り、そこからまったくずれることなく、ダイナミックに展開していくところが見事です。大軍のモブシーンも数多く出てきますが、中国解放軍兵士が... ...続きを見る |
2007/02/06 15:10 |
ディパーデット
かつて衝撃を受けた香港暗黒街映画「インファナル・アフェア」。やくざが警察にスパイを送りこみ、警察がやくざ組織にスパイを潜りこませると言う斬新なアイデア。お互いの正体を隠しながら、スパイがスパイに怯え、互いにスパイを探し回るという展開に興奮した記憶があります。特に、携帯電話の電波を完全に妨害した場所でどうやって情報を送るか・・・という場面で見せた、アナログ活用法に感動しました。やはり、アナログはデジタルを上回っているのですね。それはともかく、今回のハリウッド版・・・まったく期待せずに劇場へ行き... ...続きを見る |
2007/02/02 15:37 |
どろろ
子供の頃、手塚治虫の原作をちょっとだけ読んだ記憶がありますが、なんだかとても暗くて怖い絵が続いていたので、やめた記憶があります。どういう物語がまったく知らずに劇場へ。冒頭のシーンは重厚で味付けが濃厚です。まるで、中井貴一主演のシェークスピア舞台のよう。マクベスを思い出します。映画がすすむにつれて、な〜るほど、こういう物語だったのかと、ようやく理解できました。やっぱり、シェークスピアですね、これは。捨てられた息子が、捨てた父親に復讐すると言うのですから、凄絶です。しかも、兄弟で殺し合い、母も父... ...続きを見る |
2007/01/29 14:48 |
それでもボクはやってない
十年以上、新作を発表しなかった周防監督。ようやく陽の目を見た新作のテーマは冤罪。コメディ監督から社会派監督へ脱皮するつもりか・・・とも思いましたが、そういう監督ではないだろうと劇場へ。結果として、今度の作品は、以前の作品とはずいぶんテイストの違ったものになっています。26歳のフリーター青年が知り合いの薦めで会社の面接に向かう途中、満員電車の中で巻きこまれた痴漢事件。被害者の中学生が、青年の上着の袖を掴んで、駅員につき出したから大変なことになってしまう。脚本も担当している監督は、初めから主人公... ...続きを見る |
2007/01/25 15:04 |
マリー・アントワネット
ハリウッドを代表する巨匠、フランシス・フォード・コッポラを父に持つ新鋭女性監督・ソフィア・コッポラ。父とともに製作も担って製作された「マリー・アントワネット」は、今までに語られてきた民衆の敵・浪費の女王といった常套句を脱し、新たな若き王妃像を作り出すことに力を注いでいるように思われます。冒頭、オーストリアが、フランスとの絆を強固にするために皇太子へ捧げた十代の皇女の戸惑いと不安が素晴らしいロケと共に若々しく描かれ、一気に物語へと誘われます。写真だけで嫁いだ皇女が迎えた初夜の様子も面白く、この... ...続きを見る |
2007/01/22 14:34 |
愛の流刑地
渡辺淳一の恋愛小説は、「失楽園」から性愛のために死を選ぶ者を描くようになった。さまざまな大人の恋愛を描き続けた末に、行きついた先が「死」だったらしい。近松門左衛門が描いた悲愴な男女の恋は、自由恋愛が禁じられていた封建社会の時代だけに許された設定で、現代社会の中では、禁じられる男女の関係など、皆無に近い。不可能に近い、男女の究極の恋愛を描くため、渡辺淳一は、「失楽園」では、左遷された編集長を設定し、「愛の流刑地」では、書けなくなった小説家を設定している。映画「失楽園」で、黒木瞳が演じた女性も、... ...続きを見る |
2007/01/18 15:14 |
ラッキーナンバー7
こういうタイプの作品は、ストーリーをばらすことができません。といっても、どういう物語なのか、まったくわからなければ意見も述べられませんから、ちょっとだけ。発端は、二十年前に起きた競馬の八百長レース。興奮剤を打たれて優勝する寸前、転倒。極秘情報でヤミ資金をすべて賭けた男が殺される。その上、男の妻と息子も・・・。ニューヨークに進出してきた新興ヤクザが見せしめの為に皆殺ししたのだ。それから二十年・・・当時の新興勢力も分裂し、対峙するふたつのビルの最上階にそれぞれのボスが引きこもり、暗殺に怯えている... ...続きを見る |
2007/01/17 15:14 |
人生は奇跡の詩
ちょっと不思議な結婚式から始まるこの作品。監督・主演のロベルト・ベニーニが自由奔放に作り上げたことは十分に理解できますが、どうして、はるばるイラクまで行かなくてはならないのか、不明です。ラスト近く、夢の中に出てくる美女の正体がわかるのですが、そうだったのか!とは、ならないようです。夢の女性を追いかける主人公は大学で詩を教える教授。同僚の美人教授と関係があって、彼女から誘われるし、家に来てケーキとシャンペンまで置いていってくれるのだから、羨ましい限り。詩人仲間のジャン・レノがバグダッドに帰るの... ...続きを見る |
2007/01/09 14:48 |
大奥
江島生島事件は、かつて何度もテレビ時代劇の中で取り上げられてきた。衣装箱の中に潜んだ役者・生島新五郎が、大奥総取締役・江島の元へ届けられるシーンは、大奥最大のスキャンダルとして、何度も描かれてきたのだ。だが、今回の映画化にあたって、脚本家・浅野妙子さんが最も重視したのは、主演・仲間由紀恵にふさわしい江島像を創造する点にあっただろうと思われる。物語は、幼い将軍の側用人として権勢を振るう、間部詮房を陥れようとする天英院一派が仕組んだ罠に、江島が巻きこまれ、生島と密会を持ってしまうという構成になっ... ...続きを見る |
2007/01/02 15:45 |
プラダを着た悪魔
2006年最後の鑑賞作品になってしまった「プラダを着た悪魔」。申し訳ありません、私はファッション音痴で、ブランド知識皆無。そんな私に、この作品を見させたのは、冬休みアニメ映画がどっと溢れ出たからです。まったく期待せずに見始めた「プラダを着た悪魔」。しかし、ファッション雑誌界のカリスマ役でメリルストリープが登場するや、ぐぐぐぐっと映画に引きこまれてしまった!まさに、悪魔のような編集長。部下を奴隷としてコキ使い、無理難題を押しつける。公私混同もなんのその、夫の用事から双子の娘の買い物まで、容赦な... ...続きを見る |
2006/12/28 16:26 |
犬神家の一族
91歳の市川崑監督。かつて、不入り続きの東宝に大ヒットをもたらして、次々と金田一探偵シリーズが作られた。中でも、2作目の「悪魔の手毬唄」は大傑作。そんな黄金伝説を作り出した御本人が第1作をリメイクするというので、興味津々。しかし、老齢の監督に当時の力が残っているのか・・・そんな懸念は吹っ飛びました。素晴らしい。美しい。「フラガール」で炭坑町のおっかさんを好演した冨司純子さんが、実の息子の尾上菊之助を相手に、丁丁発止の大熱演。中堅女優の出番の少ない現在の邦画企画。その中で、女優競演の数少ないチ... ...続きを見る |
2006/12/21 15:04 |
敬愛なるベートーヴェン
難聴のベートーヴェンが、どうして第九の初演を成功させ得たか、というところに面白い着想を得た、佳作。音楽の才能に恵まれた炭坑夫の娘がウイーンの修道院で暮らしながら、音楽の勉強をしている。通っている音楽学校へ、最優秀な生徒がひとり、採譜係に欲しいという依頼。ヒロインが、採用元を尋ねると、採譜の相手は「野獣」のベートーヴェンだという。恐る恐るヒロインが尋ねると・・・という出だし。とても面白いストーリーになっている。物語が精彩を放ち始めるのは、第九の初演会場。難聴のベートーヴェンは、実は彼女の指揮を... ...続きを見る |
2006/12/20 13:30 |
硫黄島からの手紙
硫黄島2部作の前作「父親たちの星条旗」は優れた映画だった。映画の後の予告編「硫黄島からの手紙」は私の興味を引きつけた。この2本の戦争映画の佳作を見終わって思うのは、「硫黄島からの手紙」が外国人によって撮られたという驚異。過去に、これほど日本の軍人と日本人の戦争を精緻に描いた外国映画もなければ、外国監督もいない。驚くべきことだ。戦後、日本を占領していたGHQの民主化政策で日本人の多くが戦時中の軍部の横暴と愚かさを教育され、思想的には左傾化していった。朝鮮戦争を機に、冷戦が深刻化し、GHQも方針... ...続きを見る |
2006/12/12 14:46 |
007カジノロワイヤル
永年続いてきた007シリーズ。今回は、ダニエル・クレイグの新・ジェームズ・ボンドを得て、大きくテイストを変えている。前作までのシリーズに行き詰まりを感じたのは、安易なCG映像の濫用によってバカハリウッド映画になりかかっていたところ。金さえつぎ込んで、大味な破壊場面や見せ場を乱打していけば客はついてくると思っていた節がある。昨今のハリウッド映画が危機に瀕しているのも、スターと金に頼りすぎているところ。そこへ、今回の007新作。期待していなかったが、マスコミ評もなかなかよく、本場イギリスでは過去... ...続きを見る |
2006/12/08 15:42 |
武士の一分
藤沢周平の短編小説を得て、3部作となった山田洋次時代劇。いずれも、主人公は小藩の下級武士。今回は、三十石の毒見役。幼くして父を亡くした美形の青年藩士には孤児として生まれた美しい妻がいる。波瀾を起こしたのは、ツブ貝の刺身。季節によって猛毒を持つツブ貝を、生のまま殿の食事に出そうとした時、事件は起きる。主人公はツブ貝の毒で失明し、老年の上司は事件の責任を取って自害する。光を失った主人公と妻の生活が貧しく小さな家の中で精緻に描かれて行く中で、妻には魔の手が伸びていく・・・。もし、主人公に息子がいれ... ...続きを見る |
2006/12/04 17:41 |
めぐみ・・・引き裂かれた家族の30年(abduction)
30年前に横田めぐみさんが失踪したとき、いったいこの国の誰がその犯罪の真相を予測できただろうか。ある日突然娘を奪われた平凡なサラリーマン夫婦が、娘の安否を気遣う心だけで闘い続け、国を動かすまでを、この作品は丁寧に描いている。失踪から2年後に、北朝鮮の関与が浮上してくるが、その情報を最初に報道したのが、サンケイ新聞社だということがわかる。当時、同様の情報は朝日、毎日、読売にも入った可能性が高いが、彼らは無視したのだろう。日本人の想像力を超えた国家犯罪は、マスコミの常識を遥かに超えていただろう。... ...続きを見る |
2006/11/30 14:00 |
7月24日通りのクリスマス
う〜ん、あんまり映画の悪口は言いたくないですけど、これは勘弁してくれ!映画となってしまいました。「電車男」でヒットを飛ばした村上正典監督+金子ありさ脚本+中谷美紀トリオを再起用して、吉田修一の原作を映画化。ここまでは、良い。しかし、結果は無残です。なにしろ、映画なのに中谷美紀のナレーションで運ばれて行く。映画は映像でしょう?ラジオドラマじゃないんだから!ヒロインの心象風景を台詞と動きで描くのが、映画脚本です。山田洋次監督「寅さん」シリーズを見れば、歴然。登場人物の心理は、映像で表現しなければ... ...続きを見る |
2006/11/22 16:32 |
トンマッコルへようこそ
韓国ではファンタジー映画はヒットしないと言われていたそうだが、この作品は成功を収めた。着眼点は奇抜だ。朝鮮戦争の最中、金日成率いる北朝鮮軍が一気に攻勢を強めた。中国共産党軍の参戦を見た米軍は、マッカーサー率いる国連平和軍として仁川へ上陸、強大な戦力で反攻を始めた頃の話。追いつめられた北の兵士3人。韓国軍の逃亡兵2人。戦闘機が墜落して助けられた米兵1人。彼らが集まったのは、奥深い山中にある、夢のような村「トンマッコル」。素朴で人懐っこい善人ばかりが住む理想郷に紛れ込んだ3つの国の兵士たちが、村... ...続きを見る |
2006/11/14 15:44 |
デスノート・後編
膨大な原作から、ダイナミックなエピソードをうまく取り出し、さらに原作とは違ったキャラや事件を加味することで大ヒットとなった前編。その興行的成功を確認しないまま作られたという後編。前編が、デスノートの悪魔的連続殺人とライト、キラの対決予告編なら、後編は徹底的な二人の対決を描いている。冷酷無比に犯罪者の殺害をめざすライト。犯罪者を殺してどこが悪いのか、という訴えに真正面から答えられる人間はいないだろう。ドストエフスキー「罪と罰」の主人公、ラスコーリニコフは金貸しの老婆を殺すことを正義と考え、実行... ...続きを見る |
2006/11/11 22:07 |
ワールド・トレード・センター
アメリカ中間選挙で共和党が敗北し、ブッシュ大統領がイラク政策を変えるのではないか、と世界が考えている今、この作品を見ると、複雑な思いに囚われる。あの大きな悲劇がアメリカを、世界を襲ったとき、テロに対して敢然と立ち向かう姿勢を明確にしたブッシュ大統領は、多くのアメリカ人に支持されたのだった。あれから五年。イラク戦争が泥沼と化し、世界の良識が米英軍のイラクからの撤退を望むようになった。しかし、あの惨劇の中に忍耐と良識を示した人たちがたくさんいたことは忘れてはならない。「プラトーン」でベトナム戦争... ...続きを見る |
2006/11/10 20:42 |
手紙
映画「電車男」のオタク青年の印象が強い山田孝之。彼が新たな境地を切り開いたと言ってもいいぐらいに、「手紙」は、山田孝之の素晴らしい演技に支えられている。「パッチギ」で素敵な笑顔を見せた沢尻エリカは、ナニワど根性女ともいうべき肝の座った女を演じて新鮮だ。物語は、果てしなく辛い。誰にでも多少はある、人生の暗部がこの物語りの主人公にはとてつもなく深く暗い闇になってのしかかってくる。殺人者の兄。肉親であるというだけで次々と振りかかってくる災難。不運と不幸は違うという。不運は誰にでもあるが、それを不幸... ...続きを見る |
2006/11/06 17:03 |
父親たちの星条旗
日米の太平洋戦争での最初の天王山となったのが、ミッドウエー海戦。ここで主力空母と熟練パイロットを失った日本海軍は、米軍の反攻を許してしまうことになる。記録映画や映像などで、沖縄に押し寄せた米軍の夥しい数の戦艦、空母を見る事はあった私も、硫黄島に向かった米軍の戦力を映像で見たことはなかった。なんという巨大な戦力差だろうか!硫黄島の地下深く、気温40度、湿度100%の地下基地で水も食料も乏しいまま三十日以上も篭り続けた日本軍と、豊富な物資に支えられた米軍。この作品の初めには、上陸した米兵たちが日... ...続きを見る |
2006/11/02 14:48 |
ブラック・ダリア
ブライアン・デ・パルマ監督の新作、スカーレット・ジョハンセンの魅力的なポスター。こう来れば見逃せません。「マッチポイント」でもセクシーで男を惑わせる女性を演じたジョハンセンが今回はどんなに悪い女を演じるか・・・それを楽しみに劇場へ行きましたが、落胆。この作品のテイストは、「L・A・コンフィデンシャル」。エルロイの原作らしく、ダーティーな男の世界になっています。ただ、物語があまりに複雑で、理解しがたい。映画の後で、ご婦人方が「さっぱりわからなかったわね。奥さん、お昼何にします?」とおっしゃっ... ...続きを見る |
2006/10/25 16:16 |
カポーティ
何といっても、これは、主演のフィリップ・シーモア・ホフマンの映画だ。彼は、この作品に俳優人生のすべてを賭けているように感じられる。ベネット・ミラー監督の演出も、テンポを求めず、静謐の中で、じっくりと登場人物の内面を描いている。ウイットと皮肉に富んだ会話でニューヨークの華やかな社交界で寵児となっている作家、トルーマン・カポーティと、事件の起きた田舎の閑散とした風景が明確に比較されている。成功をおさめ、富と名声に恵まれたカポーティが、事件の真相に触れ、犯人と自分の出自に等質なものを見出すことで、カポ... ...続きを見る |
2006/10/22 05:17 |
フラガール
日韓映画界をビジネスとしてぐっと結びつけたシネカノン。「フラ・ガール」は、シネカノンが放った超ウエルメイドの実話コメディー。イギリス映画では最近の「キンキーブーツ」かつての「リトル・ダンサー」の路線。背景は、エネルギー産業大変動の荒波をかぶった常磐炭坑。起死回生の新興産業として大勝負に出る「常磐ハワイ」の船出と成功を、涙と笑いで巧みに描く。主演の松雪泰子は、これで主演女優賞間違いない。年末に近い方が選者の記憶に残りやすく、受賞率はアップする。踊り子のリーダーを演じる蒼井優も好演。若手女優の目... ...続きを見る |
2006/09/27 15:30 |
マイアミ・バイス
開巻、熱気の中で踊りまくる男女。響き渡る音楽の中、鋭い目を周囲に注ぐ刑事、コリン・ファレル、ジェイミー・フォックス。売春組織摘発の囮捜査。この演出から身を乗り出した。突如かかってくる携帯。建物の屋上の二人の背景には、夜のマイアミの街が眼下に煌いている。必死で逃げる仲介人。情報漏洩で殺されるFBI捜査官3人。誰が情報を流したのか・・・二人は捜査に乗り出す。 「ヒート」で、壮絶な銃撃戦を描いたマイケル・マン。テレビドラマ「マイアミ・バイス」の総監督を務めていたという。大都会の美しさが、華麗なカ... ...続きを見る |
2006/09/26 17:03 |
出口のない海
太平洋戦争で海軍が採用した、人間魚雷「回天」。映画の中で上官が説明しているとおり、「天を回して、戦局を変える」というのが名前の由来。ミッドウエー海戦以来、米軍の圧倒的な反攻に負け続けていた海軍が生み出した特殊兵器。原作者の横山秀夫氏がなぜ、回天を取り上げたのかは不明ですが、おそらく、去年が「終戦六十年目」という節目にあたり、夏場に「戦争物」が売れると判断したせいではないかと思われます。それとも、新たな作品世界開拓の目的で書かれたのでしょうか。いずれにしても、戦後生まれの横山氏が回天を執筆する... ...続きを見る |
2006/09/19 14:36 |
ユナイテッド93
2006年夏、我が家の娘はイングランド地方の語学学校へ。旅立った翌日、驚愕の旅客機テロ未遂事件が英国当局から発表されて、肝を冷やしました。「ユナイテッド93」は、娘がイギリスにいる時に見ましたが、あまりにリアルで、冷や汗が出たほど。この作品の優れている点は、監督の視線がテロリストにも冷静に注がれている点。ホテルで真摯にアッラーの神に祈りを捧げる場面から始まるところを見ても、彼らには彼らの必然性があるのだと主張している。ただ、彼らが純粋であればあるほど、事件の結果は無残で恐ろしいものになったの... ...続きを見る |
2006/09/15 06:01 |
グエムル/漢江の怪物
タイトルだけでは予測のつかないポン・ジュノ監督の新作。鑑賞前に見たNHKハングル講座でのインタビューでは「どのジャンルに行きつくか、さ迷っている途中。ヒッチコックも若い頃はロマンスやコメディーも撮っている。最終的にサスペンスに行き着いたわけだから、自分も試行錯誤を恐れずに果敢にチャレンジしていきたい」と述べていた。少年時代から怪獣映画に興味があったとも言っていた監督のグエムルは、監督なりのモンスタームービーになっている、ということでしょうか。韓国の歴史と社会に疎い私にはわかりませんが、ストー... ...続きを見る |
2006/09/11 16:56 |
マッチポイント
「青いターバンの少女」でスターへの道を切り開いたスカーレット・ジョハンセン。老練な名匠・ウッディ・アレンが新作で彼女に与えた役どころは、アリゾナからロンドンの上流社会へ出入りするチャンスに恵まれた女優の卵。物語の原型は、どこか「太陽がいっぱい」に似ている。アイルランドの貧しい家に生まれた青年がテニスで名を挙げて、ロンドンの名門テニススクールにコーチの口を求めにやってくるところが発端。ジョナサン・リース・メイヤース扮する野心家の元テニス選手は、生徒になった富豪の長男に目をつけ、家族の中に入り込... ...続きを見る |
2006/09/07 14:51 |
太陽
8月に銀座のシネパトスに行ってみましたが、長蛇の列。劇場が小さいのでとても入りきれないということでした。シネパトス始まって以来の大ヒットのお陰で相鉄ムービルと川崎チネチッタでの上映が決まって嬉しい限り。ようやくチネチッタで「太陽」を鑑賞できました。終戦間近の内閣と軍部の激しい争闘は、岡本喜八監督「日本のいちばん長い日」に詳しく描かれていますが、一億総玉砕を叫ぶ陸軍をどう抑えこむかが最も困難な点でした。「太陽」は、地下の御文庫に移られた天皇の窮屈な暮らしがよく描かれています。天皇の朝食が描かれた最... ...続きを見る |
2006/09/04 13:31 |
キンキーブーツ
かつて、「リトル・ダンサー」に魅了された私は、英国産ヒューマンムービーが大好きになりました。そこへ、新作「キンキーブーツ」。予告編を見ただけで、期待で胸がワクワク。なにしろ、話の筋が良い。倒産しかけた田舎の靴工場が、起死回生の秘策として、ドラッグクイーンご用達の”特殊ブーツ”を作り始めた・・・というのですから。素晴らしいのは、ローラを演じたジュリアン・ジャルドー。今夏に話題になった「トランスアメリカ」のヒーローいや、ヒロイン・・・は、れっきとした女優さんでしたが、こちらは男優。ファースト... ...続きを見る |
2006/09/01 20:05 |
紙屋悦子の青春
先日亡くなられた黒木和雄監督の遺作。残暑の中を岩波ホールへ。やはり、年配の方々が多い。原作者については不勉強で何も知りません。映画の冒頭、老けメイクの原田知世さんと永瀬正敏さんが病院屋上で長々と語り合うシーン・・・おい、おい、こりゃ、どうなるんだ??と内心不安にかられましたが、ヒロインのお見合いのシーンからは、どっと感情移入。死に絶えてしまったかつての凛々しき日本男児が特攻隊へと志願し、想いを寄せるヒロインに最後の別れにやってきたところでは・・・涙。涙。涙。・・・この作品には反戦メッセー... ...続きを見る |
2006/09/01 19:53 |