青い鳥
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作成日時 : 2008/12/06 15:14
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中学生の心の内を感受性豊かに共鳴して数々の秀作を描き続けてきた作家・重松清の原作を映画化した「青い鳥」。タイトルの由来は、問題が起きた東京都・多摩地区の中学校で行われた”青い鳥運動”。校内に置かれた”青い鳥ボックス”に、生徒たちが思い思いの投書をする。生徒の本心を掴もうという生徒指導の教師の発案だ。学内で起きた問題とは、いじめにあった男子生徒が自宅で自殺未遂を起こした末、転校したことをいう。マスコミに公表され、生徒がカーテンレールで首を吊る直前に残された”遺書”が問題になったのだ。自殺の原因を作った3名の同級生の名前が載っているとされた。担任の教師は体調を崩して休職し、代わりにやってきたのが中年の吃音教師・阿部寛。彼は、備品倉庫に仕舞われていた転校生の机と椅子を教室に戻させ、毎朝、その机に向かって「おはよう」と挨拶をする。事件のあと、いじめの犯人と目された生徒2人は教育委員会に呼び出され、他の生徒たちも何度も反省文を書き直させられていたのだ。生徒たちは教師のやりかたに不満を持つ。だが、彼は寡黙に挨拶を続けるだけだ。事件に関して自分に責任があるのではないかと心の奥で思い続けた生徒の一人が、隠しきれないトラウマと向き合うことになるのだが・・・。この作品は、じっくりと練り上げられている。十分に考え抜かれた脚本を、演出の中西健三監督は落ち着いて緻密に描きぬいている。多くの娯楽作品に安易に使われるような小手先の演出を廃し、この原作が投げかけている現代の中学生たちの抱える問題にかなり深く切り込んでいる。阿部寛は、風采の上がらない謎めいた存在として描かれ、彼が時折財布の中から引き出して見つめるかつての教え子たちの問題にもなんら説明を与えない。家族がどのようなものか、どこに住んでいるのかさえ不明だ。だが、彼の目は、生徒の心に直接向かい、問題から目を逸らさない。その濁りのない彼の目が、主人公の生徒の心に突き通り、本当の気持ちを彼に訴えるまでに開かれるという構造になっている。実際に、このような教師はいないだろう。原作者も脚色者も演出家も、いてほしいという切実な願いでこの物語を作り上げているのだろう。その願いが表面的な色付けに終わらず、感動をもたらしてくれたことを高く評価したい。
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